クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

バーンスタイン 交響曲第2番「不安の時代」 アントルモン(p)(65)

2018.06.17 (Sun)
bernstein 1965
アントルモン(p)/バーンスタイン/ニューヨークフィル(65、SONY)は
普遍の名演。孤独で美しいピアノと都会の音のするオケ。
この曲にベストマッチ。
バーンスタインは他に3種の音源を残しているが私はこれが一番好きだ。

演奏云々の前にまず声を大にして言いたいのはこの曲は名曲だということ。
バーンスタインの作曲活動は往時より評価されていたとは言えないが、
今後半世紀後にバーンスタインの名前が残るとすれば作曲家としてだと思う。
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特にこの曲や「セレナーデ」はその筆頭になろう。
近時自作自演盤以外が続々と表れ演奏会にも登場してきているのはその証左。
特にバーンスタイン生誕100年の2018年の今年は頻出だ。

「不安の時代」は作曲者30歳の1948年に完成し65年に改訂された。
”The Age of Anxiety”はW.H.オーデン(1907~73)の長編詩を読んで
The Age of Anxiety oden
共感したバーンスタインがそれに沿って作曲したとされる。
確かに構成はその通りだ。
第1部
  ① プロローグ(戦後都会のバーで飲む見知らぬ孤独な4人、そして語り合い)
  ② 七つの時代(幼年・学童・青春・兵士・裁判官・老人・第二幼年→無為な人生)
  ③ 七つの段階(先史・古代・封建・産業→破壊・敵対→世界の終末)
第2部
  ① 哀悼歌(4人の議論は回るがバーは締まり、女の家で飲み直す)
  ② 仮面劇(アパートでのパーティ、jazzをかけて馬鹿騒ぎ)
  ③ エピローグ(上辺の楽しさでは癒されない。人間は所詮孤独)
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ただ、詩からインスパイアされたのは事実としてもそもそもバーンスタイン自身が
生涯抱えていた漠然とした不安や混乱を書き記した音楽のような気がする。
(バーンスタイン自ら後年そう語っている)

さて演奏だが端正なアントルモン(1934~)のピアノが沁みる。
当時増強改訂されたばかりの「エピローグ」のクールなピアノ・ソロは素敵だ。
勿論バーンスタインの指導のもとに特訓したのだろう。
Philippe Entremont bernstein_R
その前段となる「仮面劇」のジャズセッションも実に難しいと思うのだが
ピアノもオケも余裕でこなしている。
全てにおいてバランスが取れた感動的な名盤だ。
アントルモンはこの名盤を生んだので今もこの曲が大好き。
(アントルモンは自分の娘にバースタインの妻の名をつけた)
Entremont recalled Bernstein

録音はマンハッタンセンターでのセッション。
ここの巨大な空間のなかのピアノは淋しい。
そしてスケールの大きなオケ、パーカッション群の捉え方も明快自然。
伸びよく現役でも十分。

17:54  18:46   計 36:40
演奏   S 録音  89点

バーンスタイン ミサ ネセ=セガン(2015)

2018.06.16 (Sat)
バーンスタインネセセガンミサ
ネセ=セガン/フィラデルフィア管弦楽団(2015、DG)は熾烈に迫る。
最初はライブ的な荒れ感が気になったが、
曲が進むに従ってそれがどんどん迫真に変化した。
この人たちは本気だ!
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ただ問題があるとすれば真性ライブ収録であるためか
ホールノイズ(空調音?サーッという音)が常時聴こえる。
昔の録音のヒスのようだ。
それに慣れればレベルの高い上演を愉しめる。

この曲の最初の掴みは司祭の歌う「シンプル・ソング」。
テノールのケヴィン・ヴォルトマンの声は悪くないが・・・
バーンスタイン盤のアラン・ティトスの色気のようなものは無い。
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その他の独唱声楽陣は「がなる」傾向はあるのと、
声そのものの魅力は初演盤に及ばない・・・。
時に演技過剰になるのはライブがなせる技かもしれない。
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一方この盤の器楽陣は素晴らしい。
フィラデルフィアのオケは今までのどの演奏よりもシンフォニックで巧い。
マーチングバンドやロックバンド他もパワフルだ。
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そして全体の迫真の勢いを演出しているのがネセ=セガン((1975~)だ。
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たたみかけるようなテンポ感で突き進む。
もう少し抒情性を出してもいいのでは思う部分もあるが
とにかく一気に聴かせる。
あまりオケが突っ走るので声が一生懸命追いつこうとする部分もある。
従って演奏に精緻さを求めると問題はあるが疾風怒濤のエナジーでは一番だ。
とにかく21世紀に入ってから続々と新録音が登場したのは嬉しい限り。
こうした挑戦は応援したい。
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録音はフィラデルフィアンのヴェリゾン・ホールでのライブ。
Verizon Hall
4日間の公演から編集されているが、舞台を歩きまわる音など
しっかり収録されている。
しかし、先述の通り音が鎮まるとサッーという持続的な音が気になる。
空調なのか?
またこの曲の収録の難しさを感じさせるのはアッチャコッチャから
飛び出す音を捉えること。セッションの方が有利で鮮烈にできる。
最新録音ながら過去の録音に劣るのはひとえにライブのハンディ。
ゲネプロなどの音を使えばとも思ったが、
そうしたらこの熱気は捉えられなかったかもしれない。

107:45
演奏   A    録音  91点

C.P.E.バッハ ハンブルグ交響曲集(Wq183) コープマン(85)

2018.06.15 (Fri)
cpeコープマン183
コープマン/アムステルダム・バロック管弦楽団(85、ERATO)は
古楽器の典雅な響きに魅せられる。コープマンらしいメリハリもあり愉しい。
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このアルバムの順番は第2→3→4→1トなっている。
第2で掴んで劇的な第1で締めるという狙いか。

音楽は奇抜なことはしていないがC.P.Eの面白さを明快に伝える。
リズムはしっかり刻まれ、全体に明るいトーンで音楽が進む。
自然な流れの中に変転が起こり景色が変わる。
腕っこきの名手を揃えらこの楽団の音も冴えている。

録音はユトレヒトの「マリア・ミノール」カトリック教会でのセッション。
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多分現在はカフェとして使用されている美しい場所。
こうしたバロック音楽には適した広さで空間も感じさせる。

11:08   9:03  10:50  11:31   計 42:32
演奏   A+ 録音  93点

C.P.E.バッハ ハンブルグ交響曲集(Wq183) コッホ(69)

2018.06.14 (Thu)
cpeコッホ183
コッホ/ベルリン室内管弦楽団(69、DS)は確固たる足取り。
リヒターと同年盤ながら行き方が違う。折り目正しいドイツ古典派の立派な曲だ。
この安定的な響きはそのほかにみられない。

ヘルムート・コッホ(1908~75)は生粋のドイツ指揮者で
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言うまでもなくヘンデルやバッハの権威。
その彼が組織した東ドイツのベルリン放送交響楽団からの抜粋メンバーである
ベルリン室内管弦楽団はいかにもドイツらしいカチッとした整然とした響き。
リヒターのようなむき出し感はない。
またこの後出てくるピリオド軍団のような軽さや癖もない。

まじめにどっしり突き進む。ゆえにC.P.E.の独創性の強調はなく
モーツァルトの中期の交響曲に紛れ込むような趣。
ただ、交響曲第3番の第2楽章のラルゲットのように楽器を減らして
痛切に歌う場面は前後がガッシリしているだけに効果的だ。
また、教会にこだまするオケの響きも特筆。

録音は東ドイツのベルリン・キリスト教会でのセッション。
このオケの凛とした音を教会の澄んだ空間が捉える。明晰な音だ。

11:06  11:26  11:17  10:26  計 44:15
演奏   A   録音  89点

C.P.E.バッハ ハンブルグ交響曲集(Wq183) リヒター(69)

2018.06.13 (Wed)
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リヒター/ミュンヘン・バッハ管弦楽団(69、ARCHIV)は切れば血の出る激しさ。
モダン楽器による演奏だが、奏法云々を越えた訴求。

リヒター(1926~81)はC.P.E.の独自性に早くから気づいていた。
リヒター
特に第1番は63年にもモーツァルトの第29番と併録しこの曲の革新さを
アピールしていたほど思い入れがある。
この再録音盤でも痛切な響きで一気に引きずりこむ。
コロコロ変わる感情の変転が連続し悲劇性を帯びたまま終結してしまう。
ニ長調の交響曲だがモーツァルトのト短調第25番と並置したくなるほどだ。

交響曲第2番も怒涛の勢いでアタックが強い。
アッチェレランド気味に疾走したかと思うと突然の休止。また平然と歌いだす。
この支離滅裂はとてもJ.S,バッハの息子とは思えない。
それどころかハイドンにもモーツァルトにもない。

第3番第1楽章も他に類を見ないスピードで駆ける。
弦のパッセージが速すぎて上滑りするような感触すらある。
そうかと思うと第2楽章ラルゲットはドカンとテンポを落とす。
終楽章のドンドンリズムも吹っ切れている。

第4番も真剣勝負で弦の圧が強い。

録音はミュンヘン・ヘルクレスザールでのセッション。
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名ホールでの収録であり少し硬いところはあるが
明快な音をしっかり捉えている。

10:01  9:13  9:44  9:43  計 38:41
演奏   S    録音  88点
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