クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Beethoven Sym7 の記事一覧

ベートーヴェン 交響曲第7番 クライバー(76)

2017.05.06 (Sat)
クライバー71975
クライバー/ウィーンフィル(76、DG)は高次元のバランス。
名盤の誉れ高く、確かによい演奏だと思う。
管の使い方が巧く、アクセントが効いているし対向配置も効果的。

ただ、この盤よりも後年の迫真のライブ盤に魅力を感じる。
個人的好みでもあるが、聴衆のいないムジークフェラインは響き過ぎて、
せっかくのクライバーのリズムを削いでいると思う。

第1楽章は規範的演奏。テンポ・造形中庸でウィーンをよく鳴らす。
リズム感よくティンパニの打ち込みもこのオケでは珍しいほど決まる。

第2楽章はやや速めでもたれないテンポ。劇性の強調は無い。

第3楽章もうまくリズムに乗っている。

終楽章も勢いがあって素晴らしいが、ライブに比べると予定調和。

録音はムジークフェラインでのセッション。
75年11月と76年1月の編集。鮮度は今となっては少し落ち全体が鳴る。
帯域欲張らずまとまっているが当時の最良とは言えない。
なお、「THE ORIGINALS」盤では右からブーンというハム音が聞こえる。
別途保有のSACD盤もチェックせねば。

13:35  8:08  8:14  8:36   計 38:33
演奏   A   録音  88点

ベートーヴェン 交響曲第7番 ドゥダメル(2006)

2017.05.05 (Fri)
ドゥダメル57
ドゥダメル/シモン・ボルヴァル・ユース管弦楽団(2006、DG)は
このコンビ最初期の記録。ドゥダメル(1981~)はなんと当時25歳。
この歳でベートーヴェンを録音した指揮者はいるのだろうか?

彼らはその後ベートヴェンに注力し2016年に再録音、2017年には
交響曲全曲ツアーをウィーンやハンブルグで敢行している。
(近時の演奏時間は5分違うがこれはリピートの有無によるところが大)

この演奏でまず驚くのは、このオケの素晴らしさ。
南米で最も危険といわれるベネゼエラで、貧困や犯罪からの脱却を目指す
「エル・システマ」から生まれたこのユース・オケ。
日本の大学オケではかなわないだろう。
なにせ、この国の40万人の子供により200以上のユースオケができ、
その中から選りすぐられたメンバーによるオケだから。
(人数も多いため併録の「運命」とこの曲で構成員が相当違う)

ドゥダメルが
「音楽は私を救ってくれました。これは確かです。
私の周りにも犯罪や麻薬がはびこっていました。
音楽がそうしたことから、私を遠ざけてくれたんです」
と述べているが、当初の目的以上にこのシステムは音楽の質の面でも
極めて意義のあるものと思われる。
それにしてもギアナ高地のある国でこの演奏が鳴り響いているとは。
ギアナ高地

さてこの演奏、前半3つの楽章は意外なことにおっとりしたテンポ。
音はどちらかというと編成の割りには軽めだが、
昨今のピリオド的要素は微塵もない。
丹念に美しく音を紡ぐ。

しかし終楽章になると突如人が変わり脱兎のごとく。
スピードだけみるとカラヤンを抜く。
音価を切り詰めゴム製ボールが弾むようにポンポン行く。
あれよあれよという間に終わっている。

何か唐突感があるし、快速ならば迫力があって興奮させられる、
というわけでもないことが分かる。
音楽による感情の昂ぶりはテンポだけが要因でないという
至極当然のことを喚起させる。

録音はベネズエラ中央大学、アウラ・マグナ講堂でのセッション。
ベネズエラ中央大
ベネズエラ中央大学、アウラ・マグナ講堂
この大学都市は世界文化遺産になっているとのこと。
非常に大きなホールで音が盛大に拡散しそうな感じだが
録音はうまくやっている。
全体を捉え残響を適度に残し潤いを与えている。
音の凝縮性や明晰さはもう一歩だが美しく仕上げている。

11:29  8:43  9:42  6:16   計 36:10
演奏   A-   録音  91点

ベートーヴェン 交響曲第7番 ベーム(77)

2017.05.04 (Thu)
bohm1977bpo.jpg
ベーム/ベルリンフィル(77、METEOR)は重量物が剛毅に白熱する。
非正規盤なのでどうかと思うがベームがノッた時の凄さを味わえる。

これは1977年10月8日ベルリン芸術週間での記録。
ベーム(1894~1981)は70年以降専らウィーンフィルとの演奏、録音が主だが、
私はベルリンフィルもしくはロンドン響との演奏が好き。

このベートーヴェンもそう。
ウィーンフィルとのDG録音や日本での来日公演の記録などが出ているが
こちらの方がベームがストレートに出ている気がする。
ウィーンはベームを以ってしても思い通りにならないところがあったのではないか。
その点、機能的なオケはベームの要求を素直に受け入れている。

この演奏の特徴は
①超重量級で豪快堅固な中に芝居を打つこと
②終結にかけて問答無用な加速をしそのまま押し切る無茶すること。
これはベルリンフィル+ライブということで出来上がった。
真面目一徹なように見えて時にロマンや熱狂に陥る場面がありその意外性に
動かされる。鉄面皮なのに実は人間的であったりすることに気づくような。
Bohm-Karl-21[1975]
第1楽章始まってすぐ気づくのは同年のカラヤン/BPOの同曲の録音と
オケの音が違うこと。指揮者によってこうも違うのか。
カラヤンの演奏も迫力があるがそれは華やかさを纏う。
こちらは重心が一層下に落ち、テンポもどっしりしているので横綱のドスこい調。
軽やかさが無く固く堅い。古楽器群団の軽く俊敏な演奏と全く対極。
にもかかわらず惹きつけられるのはなぜか。
パンパンに膨らんだ風船のような危険な張りを感じるから。
そして弱音部の緊張感。表情は単調でなく緻密な設計がある。

第2楽章はどっしり表面上は淡々。しかし歯を食いしばるような音。

第3楽章はテンポのギアチェンジの落差が大きい。
速めのリズムで始まり、トリオ的な部分で物凄く遅くなりどんどん巨大化。
大芝居だ。

終楽章へはアタッカで入る。最初からエナジーが放射されている。
弦のど迫力。テンポがじりじり速くなり5分過ぎから聴いていて汗が出る。
土砂崩れに遭遇するような恐怖。クライバーより恐ろしい。
終結は頑固親父の癇癪で更に鞭が入る。
鍛えられたはずのベルリンの聴衆も間髪いれずに絶叫。

録音はフィルハーモニーでのライブ。大編成;巨大音場で豪快に響く。
放送音源と思われるのでヒスあるが、慣れれば聴ける。

12:41  9:02  8:16  6:59   計 36:58
演奏   (S)   録音  85点

ベートーヴェン 交響曲第7番 ブロムシュテット(75)

2017.04.26 (Wed)
ブロムシュテット7
ブロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレ(75、DS)は最高に美しい。
この7番で聞き惚れる演奏の筆頭。

第1楽章、冒頭の和音から抜け出る木管(Ob:マーン)の響きに痺れる。
そして左右の弦が森の木々の音。
フルート(ワルター)は小鳥の囀りにしか聞こえない。
金管(Hr:ダム)の登場と共に陽は昇る。
この曲が田園交響曲の続編であることを思い知る。
奥で鳴るティンパニ(ゾンダーマン)は出しゃばらないのに
しっかり芯のある皮の音が音楽を引き締める。

第2楽章もルカ教会に響くこのオケの光沢のある音が本当に素敵だ。
テンポは遅く一貫しているがシルクを一本一本丁寧に織り込むような
光景を目の当たりにしていると時間を忘れる。

第3楽章のテンポもゆったりしており凡百の演奏なら
飽きてしまうのだが、この心地よさは何か。

終楽章は壮大な賛歌だ。
終結に向かってぐんぐんスケールを増していく。
高度を上げる。
いつの間にかシュバルツバルトを高見から眺める位置にいる。
Schwarzwald.jpg

録音は聖ルカ教会でのセッション。
この時期のドイツ・シャルプラッテンのここでの音は素晴らしい。
この演奏がここまで心に沁みるのは
このオケ・この場所の寄与なくしては語れない。

13:31  9:57  9:45  9:03   計 42:16
演奏   S   録音  94点

ベートーヴェン 交響曲第7番 オーマンディ(64)

2017.04.25 (Tue)
オーマンディベト全
オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団(64、SONY)は堅固で巨大。
低域からどっしりピラミッド型でびくともしない。
よく言われる「ゴージャス」なフィラデルフィア・サウンドは感じず、
ドイツのオケと言われれば信じてしまう。
面白さを感じるかといわれるとどうだろう。とにかく立派なのだ。
小細工無用の自信が漲る。

第1楽章は悠然とした展開。メトロノームが意識された最近のものと違い
リピートなしで13分半。最初から最後までインテンポで押し通す。
ドラマは無いが虚飾もない。

第2楽章もひたひた9分半。一つ一つ実に丁寧な歩み。
ベートーヴェンが書いた精緻な書法をゆっくり呈示。

第3楽章も変わりなし。急ぐことは無い。
大編成オーケストラを鳴らしているのであまり速くすると音が重複する。
それを避けているのか。ピリオドを聴いた耳からすると重いリズム表現。

終楽章もインテンポで押し通す。このオケの低弦がいい音。
男性的だが全体のバランスは崩さない。
アッチェレランドで興奮をあおることは無いのだが、なんだかすごい迫力。
やはりこの曲は凄い曲なのだ。
ormandy.jpg

録音はフィラデルフィア・タウンホール。響きは相応にあるスケール感ある音。
RCAに移籍した後弦がキンキンした録音もあるのだがここでは豊麗。
細部の明晰さはそれほど追求されないが力のある音。

13:37  9:29  9:39  7:18   計 40:03
演奏   厚A    録音  87点
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