クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Beethoven Sym8 の記事一覧

ベートーヴェン 交響曲第8番 ショルティ(74)

2017.03.18 (Sat)
ショルティベト18
ショルティ/シカゴ交響楽団(74、DECCA)は堂々ガッシリ。
70年代のいつもながらの音圧の強い逞しい表情。迷いや曖昧さは無い。
ショルティ/シカゴSOはマーラーだろうがストラヴィンスキーだろうが
ベートーヴェンだろうがいつも同じ響きだった。
しかし、80年代以降の円熟味?を増したショルティより
この壮年期の輝かしさの方が好きだ。
solti_gyorgy.jpg

第1楽章から安定したテンポ、充実した響きで王道を行く。
ポルタメントなどの甘い表情は無く、弦は凄味を持つ。スコアをひたすら鳴らす。
ただ、切迫感などはなく余裕綽綽。

第2楽章は機械仕掛けの巨大メトロノーム。強い四角四面。
しかしよくもここまで強奏出来るものだ。
いや彼らにとってはこの強さは普通なのだ。

第3楽章も同様。微細なニュアンスで勝負しない彼らの行き方。

終楽章も慌てず騒がず、時に凄味をちらつかせながらどっしり。
ティンパニのトランジェントの良さは爽快。

録音はメディナ・ティンプルでのアナログセッション。
074-beethoven-recording-session-at-medinah-1-11-1973.jpg
全体と個々の楽器をうまく融合させた優秀録音。
低域のどっしり感が音楽を逞しくする。

10:06  4:09  5:34  7:42   計 27:31
演奏   A   録音  92点

ベートーヴェン 交響曲第8番 シャイー(2009)

2017.03.13 (Mon)
シャイー78
シャイー/ゲヴァントハウス管弦楽団(2009、DECCA)は表現主義的無窮動。
ピリオド奏法を持ちこんだモダンオケによる演奏。
だがそれよりもデュナミーク振幅の異様さと目まぐるさが際立つ。
それを面白いとみるか邪道と見るか。私は愉しんだ。
だがいつも聴きたい演奏になるかは分からない。

ベートーヴェンがこの曲に託した仕掛けをアンプリファイアする。
アップテンポかつスフォルツァンドの極大化でグロテスクともいえる再現。
反復実行しながら22分半ばで通り過ぎるこの演奏。
この半世紀でベートーヴェンの交響曲の中で
一番演奏スタイルが変わった曲ではないだろうか?

冒頭のダッシュから骨がぶつかりあうような音。
金管が入ると特に軋みながらオケが悲鳴を上げる。
容赦ない鞭がバシバシ入る。

第2楽章も強弱の落差が激しく疾風怒濤感がある。

第3楽章も長閑な郵便馬車のラッパ感は無い。

終楽章など音価がばさばさ切り詰められヴォルテージは極限状態。
ちょっと狂気の沙汰。
第8番は第1楽章から終結まで音楽が絶えず躍動しているが
それを突き詰めてしまった。
聴き終わると嵐が過ぎ去ったあとの呆然とした気分になる。

録音はゲヴァントハウスでのセッション。
Leipzig-Gewandhaus-concerthall.jpg
音はオンで捉えられておりかなり鋭角だが、
最後はこの会場の響きに救済される。

8:12 3:42 4:16 6:15 計  22:25
演奏   A+?     録音 94点

ベートーヴェン 交響曲第8番 セル(61)

2017.03.12 (Sun)
セルベト全
セル/クリーヴランド管弦楽団(61、SONY)は発見の連続!
実に手が込んでいる。

ベートーヴェンが躁状態で書いたこの曲をセルはいったん分解して再集結。
フルオケで豪快に鳴っているようでも全パートが全て聞こえる。
そして単に聞こえるだけでなく表情が付いてる。
テンポは現在の標準より遅いが、このテンポの必然は聴けば分かる。

なお、この微細な表情を汲み取るならヘッドフォンで聴いた方がよいかも。
特に弦に注目。配置は通常で高弦と低弦が左右に分かれるが、
その応答がこれほど面白い演奏はない。
これなら対向配置ではない方がいいと思う。

第1楽章冒頭から弦がフレッシュ。
ちょっと聴いただけでこのオケは凄いと思う。まさにクリーヴランド。
シンフォニックなのに混濁はまるでない。まあ、このアンサンブルを
作り上げるために楽団員は相当泣いたのかもしれないが・・・。

第2楽章の6小節目(0:15)の1stVnの可愛い表情。
厳しいばかりがセルではない。

第3楽章の音の減衰のさせ方。真面目なのかユーモラスなのか。

終楽章も独特。
勢いで行くのでなく完璧にバランスをとりながら時に音楽を止めたり、
音量を絶妙に変化させたり。
LP時代にはここまで聴きとれなかった。
またしてもセルはほんとに凄かったのだと再認識。

録音はクリーヴランド、セヴェランス・ホールでのセッション。
Severance-Hall-60155.jpg
Severance-Hall-60151.jpg
併録の57年の「英雄」と同じ場所ながら響きが違う。
これはこの間にこのホールの改修が行われ響きが多くなったことも
要因かもしれない。それでも明快に聞こえる当時の優秀録音。
「英雄」よりDレンジが拡大している。

9:40  3:46  5:27  7:51   計 26:44
演奏   S   録音  87点

ベートーヴェン 交響曲第8番 トスカニーニ(52)

2017.03.11 (Sat)
トスカニーニ78
トスカニーニ/NBC交響楽団(51、RCA)は正面突破。
トスカニーニ(1867~1957)のベートーヴェンは
ある意味最近の先取りスタイル。
引き締まったフォルムでグイッと進む。

第1楽章は呈示部の反復を実施。
ワインガルトナーやフルトヴェングラーやワルターは省略。
ロマンティックな演奏ではくどくなるので省略というところか。
近時の演奏は殆ど反復を実施。
要するにきびきびした奔流感が今風で反復してもくどくならない。
テンポはピリオド派ほど速くはないが勢いがある。

後続楽章ももたつくことは無い。
終楽章も逞しく前傾する。ティンパニも粒だつ。

録音はカーネギー・ホールのためNBCスタジオ8Hのようなデット
ではなくスケール感がある。
それでもシビアに聴けば強音は厳しいが
トスカニーニのベートーヴェンの中ではよい音。

9:27  3:41  4:43  7:26   計 25:17
演奏   (A)   録音  75点

ベートーヴェン 交響曲第8番 アバド(87)

2017.03.09 (Thu)
avadovpo78.jpg
アバド/ウィーンフィル(87,DG)は健康的な歌。
ベーレンライター版とかピリオドとか無縁の20世紀の演奏。

アバド(1933~2014)は世紀末にかけてベルリンフィルと新しい作法でベト全を録音する。
だが、この盤ではウィーンとよい感じ。伸びやかな弦の歌が印象的。
これを以てアバド⇒イタリア⇒カンタービレというのは短絡で気恥ずかしいが、
そういいたくなる。アクセントは厳しくなく金管なども実にまろやか。
33 morto Claudio Abbado

第1楽章の速いパッセージの中でも木管は隙を見て綺麗に囀る。
トッッティはホールの響きも手伝いシンフォニック。

第2楽章も純粋で流れもいい。

第3楽章はウィーンフィルならではサウンド。

終楽章も実に堂々。

録音はウィーン、ムジークフェライン大ホールでのライブ。
といってもそのクレジットがなければ分からないほどノイズはない。
このホールらしくたっぷり量感のある音。マス的にとらえた当時の優等生的録音。

9:42  3:54  4:51  7:19   計 25:46
演奏   A   録音  91点
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