クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ラクリン(92)

2010.06.25 (Fri)
ラクリンシベVN
ラクリン/マゼール/ピッツバーグ交響楽団(92、SONY)は個人的には最も好きな演奏の一つ。
耽美的で不健康ともいえる儚さ。この曲の再現としてはやや独特ではある。
ラクリンは74年リトアニアに生まれ、だからこの録音当時18歳?
ヴァイオリン出身のマゼールとよく共演しているのできっと気に入られているのだろう。
全体の力関係からみて、この演奏は基本的にマゼール監修のヴァイオリンソロ付き管弦楽曲だ。
録音はピッツバーグのハインツホールで一連のマゼールの交響曲全集の一環。
すっきりとした少し薄い音はシベリウスに合っている。
第1楽章は17分半で保有盤最長。コテコテでなく儚さを湛えながら歌うのがよい。
音色的な美しさや意志的な表情の強さはあまりない。そこがいいのだ。
オケもめったやたらの絶叫をしない。
基本的にソロは素直なのだが、終結部に入る前のヴァイオリンの
独自の「溜め」の表情(15分半前後)を聴くとこれはいかにもマゼールの指示だと感じる。
こんな大胆な大見得は18歳の少年が切れるはずがない。
第2楽章は平均的な速度で流れる。ここではヴァイオリンはおとなしくオケが主役。
終楽章はリズムの波動を敢えて弱くし民族色を薄める。丁寧に音楽を紡ぐ。
活力に乏しいやや病的な側面を見せる。
しかしここで密やかに語られる内緒話に惹かれるのだ。
デカダンの香り漂う不思議な魅力をもった演奏。
これぞマゼールマジック。(しかし、18歳の少年にこのような演奏をさせていいのか)

17:31  8:18  8:13   計 34:02
演奏  耽S   録音 93点

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