クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シベリウス 交響曲第7番 カム(94)

2010.02.05 (Fri)
カムシベ7
カム/コペンハーゲンPO(94、Classico)は一聴するととても地味な演奏だが、
よく聴くと大人の心にしみる演奏だ。69年カラヤンコンクールで優勝したこの指揮者は
その後派手な世界へ行かず比較的ローカルな活動を中心にしている。
日本での客演も多いが時折届く録音を聴く限りいい仕事をしていると感じる
(ナクソスのベルワルドの交響曲など)。
この人はかなりナイーブな人なのではないか?
演奏効果を強烈に狙うことはしないので一般受けしにくい節がある。
録音はチボリのコンサートホールで比較的こじんまりした音場でぬくもりのある音。
冒頭のティンパニはコロンという感じで慎ましく鳴るが
それがこの演奏の方向性を象徴している。続く弦も丁寧に紡がれる。
主題提示のトロンボーンもこれ見よがしでない。
スケールは大きくなく厳しい峻厳の寒さというより陽だまり。
オケの特性も手伝い日常の中のシベリウスを聴く思い。何度も演奏したであろうこの曲。
しかし、カムは手を抜いていない。
絶叫でごまかさず大切な宝物を扱うようにフレーズごとに命を入れる。
バルビローリのような耽溺綿々とした風情ではないが、より繊細な情感がこもる。
木管も愛らしい心をこめた演奏。終結の5分はある意味この演奏の白眉。
音が徐々に強くなり秘めた情熱が今にも爆発しそうになるのを、
あと一歩のところで堪える。そのあと、平静に戻り自然に穏やかに曲を閉じる。
この行き方、日本人の感性に合っているのではないか。

21:10 
演奏 A+    録音 90点

コメント


管理者のみに表示

トラックバック