2022.06.18 (Sat)

カラヤン/ベルリンフィル(82、DG)は入念立派。
今時「ペール・ギュント」組曲をを進んで録音する指揮者はいるのだろうか?
やるとすれば荒唐無稽な不条理劇に即した戯曲版でやるのではないか。
カラヤン(1908~89)は「ペール・ギュント」を組曲版を3回録音している
(演奏会では取り上げていない)。
1961年VPO、1971年BPO、1982年BPO。
1961年盤はLP片面に収めるためか第2組曲の「アラビアの踊り」と「ペールの帰郷」が
省略されている(もう片面は「くるみ割り人形」)この抜粋の仕方はカラヤンらしい。
本盤はデジタル期を迎え精力的に名曲を再録音していたころのもの。

70代半ばでもこうした曲に取り組むところが素晴らしい。
演奏は71年盤とテンポ感はほとんど変わらない。
ただ、前盤が尖鋭な面もあったのに対して
こちらは肩の力がが抜けて余裕を感じさせる。
それでいて終曲「ソルヴェーグの歌」などはたっぷり歌われる。
聞かせどころを外さないで聴衆に訴える。
やはりカラヤンはツボを抑えているのだ。
ベルリンフィルの鬱蒼としたほの暗い響きは爽やかさとは違うがいい感じ。
録音はベルリン・フィルハーモニーでのセッション。
71年のイエスキリスト教会の音はブルートーンだが
こちらはウォームに変化。少しヴェールがかっているので角が丸く聞こえる。
4:04 4:28 3:17 2:07 4:54 4:50 2:54 6:01 計 32:35
演奏 A+ 録音 92点