クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 シュナイダーハン(62)

2017.08.08 (Tue)
シュナイダーハン62
シュナイダーハン(Vn)/ヨッフム/ベルリンフィル(62、DG)は
独特のヴァイオリンの音色とシュナイダーハン版カデンツァ。

まずは、ヨッフム(1902~87)対シュナイダーハン(1915~2002)。
ヨッフムの率いるオケはもうこれ以上ないほど毅然として立派。
それに対するシュナイダーハンは外見に似合わず女々しい音(ほんとに失礼)。
今このような音を出すヴァイオリニストはまずいないのではないか?
と思っていたらCDショップの広告文言が答えてくれた。

『シュナイダーハンの芸風を一言で示せば、広い意味で「根っからの
ウィーンの芸術家」であるということになるでしょうか。
技術面で言えば、ヴィブラート(音の揺らし方)にドイツ・オーストリア系統の
特色が出ています。即ち、左手首をキリリと震わせて、幅の狭い、細かい
ヴィブラートを掛けるやり方で、彼の甘美で切ない音色の秘密ともなっています。
これは、現在の主流である幅の広い華麗なヴィブラートの掛け方とは
対極にあるやり方です。』

なるほど、併録のモーツァルトは違和感ないのも頷ける。
女々しいというのはウィーン風の甘美さというべきだった。

第1楽章に題をつけると『金色夜叉の寛一お宮に突然のトルコ軍の乱入』。
冒頭は当時のベルリンフィルのずっしり音が刻まれる。
それに対してヴァイオリンは実に頼りない音を纏綿繰り出す。
延々オケがヴァイオリンを蹴散らかしてたと思っていると
寛一お宮
そこに突然ソロの逆襲が始まる(カデンツァ開始19:30)。
キーキーわめき一生懸命抵抗するのだがまだひ弱。
そこにトルコの援軍(ティンパニ)登場(20:37)。
トルコ軍
これに意を強くして一層反抗する。
しかしそれも23:30にあっけなく終了し、
ヨッフムの率いるドイツ軍に簡単に丸め込まれてジ・エンド。

第2楽章はオケの手のひらで延々とすすり泣く。
ここでは気品を備える。

終楽章はようやく気を取り直してルンルンとステップ。
わがまま放題の少女といった感じで自分のテンポで踊る。
オケは相変わらず容赦なく剛毅のままだ。実に面白い。

なお、シュナイダーハンにはいくつかこの曲の録音がある。
カデンツァは53年フルトヴェングラー盤ではヨアヒム、
59年ヨッフム盤はシュナイダーハンの自作になり
本盤ではそれが更に手が加えられた改訂シュナイダー版となる。
いずれもベースはベートーヴェンがピアノ協奏曲への編曲した際の
カデンツァがベース。

録音はベルリン、イエス・キリスト教会(西独)でのセッション。
一聴してこの会場だと分かる美しい音。
オケはまろやかでソロもしっかりピックアップ。

24:35  10:49  10:54   計 46:18
演奏   女A+    録音  89点

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