クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 ツェートマイヤー(97)

2017.08.03 (Thu)
Zehetmair beethoven
ツェートマイヤー(Vn)/ブリュッヘン/18世紀管弦楽団(92、PHILIPS)は
古楽器軍団による峻厳な演奏。
全体はブリュッヘン(1934~2014)が支配していると思う。
ブリュッヘン
オケの激しいアタックにつられツェートマイヤー(1961~)も強くなっている。
Zehetmair-Thomas_20170801225411ff6.jpg

第1楽章は速めのテンポで攻撃的。
ブリュッヘンのムード的でない容赦ない打ち込み。最初は驚く。
独奏はヴィブラートを極力排した直截な音。美音とは言い難く
中音域中心で少し擦れる音がする。その結果素朴な力を感じる。
この曲に甘い雰囲気を求めるとこの演奏は筋が違うが真摯な姿勢は好感。

17:12から(~21:13)はベートーヴェンがピアノ協奏曲に編曲したときにつけた
カデンツァをヴァイオリンで演奏している。
CDの表記に「カデンツァ:シュナイダーハン版」とあるのは間違いではないが
もとはベートーヴェンだ。
ただ、初めて聴いた人はまさかベートーヴェンがティンパニを打ち鳴らす
こんなカデンツァを作ると思わないからたまげるだろう。怒っている人もいた。
実際私も最初に聴いたときウソでしょ、と思った。
(↓ベートーヴェン自筆のカデンツァのドラムパート)
Beethoven´s own cadenza, bass drum part
ヴァイオリン協奏曲は1806年に作曲され翌年1807年にピアノ版に編曲された。
元のヴァイオリン協奏曲用のカデンツァをベートーヴェンが作曲せず
このピアノ版には自作を付けたのでややこしい。
更にこれが1811年の「アテネの廃墟」の中のトルコ行進曲や
1822年の献堂式序曲を先取りするような音楽だから驚くのだ。
ともかくこのピアノ版カデンツァを原曲に持ち込んだ最初がシュナイダーハンだ。
そしてこの盤のカデンツァはやはり攻撃的だ。
ただ、最初からの流れで聴いてくれば心の準備はできている。

第2楽章はガット弦ザラついた音色の中、独奏が精いっぱい歌う。
ノンヴィブラートといことではない。
現代楽器の突き抜ける伸びやかさはないが一生懸命さがいい。

終楽章は速いテンポで一気に持っていく。勢いが素晴らしい。

録音はオランダ・ユトレヒトでのセッション。
全体的にオンマイクで明晰。トランジェントが良好。音場は適度。

22:14  9:15  8:55   計 40:24
演奏   A+   録音  92点

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