クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 スターン(59)

2017.07.31 (Mon)
バーンスタインスターン2
スターン(Vn)/バーンスタイン/ニューヨークフィル(59、SONY)は覇気。
若武者二人が感じたままの思い切りのいい音楽を作る。
bernstein stern
アイザック・スターン(1920~2001)はオイストラフと同じウクライナ生まれだが
すぐにアメリカに移住しそこで教育を受けているので
米国のヴァイオリニストといえるだろう。
ユダヤ系のためドイツに行くことは殆どなかったようで残された録音は米国中心。
よって独墺偏重のクラシックの世界では軽くみられる傾向があると思う。
しかしこのベートーヴェンなど全く本場物ではないが心に訴えかける。

そして本盤成功の一翼は上昇期41歳のバーンスタイン(1918~90)だ。
両端楽章のメリハリあるオケ、そしてラルゲットの深く沈みこむ世界など
まさにこの頃のバーンスタインの特質が如実。
そして一点の曇りもない39歳のスターンのヴァイオリンは巨大なオケに
凛とした音で対峙して気持ちよい。
この二人は多く協演し友情は終生続いた。
bernstein stern2
この後バレンボイムとの再録音(75年)があるが
残念ながらこの盤と空気が違う。

第1楽章冒頭の硬質なティンパニをクローズアップする収録は
その後も続き、この楽章のモティーフを明確にする。
序奏におけるオケの張った雰囲気も素敵。
スターンのヴァイオリンは丸い外見とは違い中高域が美しく安定感がある。
決して図太いラフな演奏ではない。
オケは重量感があり時に念を押すような溜めを用いる。
長大なこの楽章を飽きさせずに聴かせる。
カデンツァはクライスラー。堂々と逞しく弾き切る。

第2楽章はシュナイダーハン盤と並ぶ保有盤の最長。
多分バーンスタインの意向ではないか。
音符の多いところではより速く、少ないところではより遅くが
当時のこの指揮者の傾向。
単なる優美を越えたロマンの世界に引きずり込む。
この息の長いメロディをスターンは安定感で弾き切る。
過剰なヴィブラートでごまかさないのもいい。
そしてこの楽章のオケの最後のフォルテは思いが籠る。

終楽章はティンパニが活気を演出し明るい世界が開ける。
ここでのテンポは一転快活に。
大きなオケに負けずヴァイオリンは朗々と歌うのだが
デリケートな味も残す。
終結は爽快だ。

録音はブルックリンのセント・ジョージホテルでのセッション。
今聴いても明快な録音で当時の優秀録音。
ホテルで音場は小さいと思いきやしっかりスケール感がある。
ヴァイオリンはフォーカスされオケは左右に拡がるが定位はよい。

23:46  10:48  9:08   計 43:42
演奏   S   録音  87点

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