クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 シゲティ(61)

2017.07.26 (Wed)
シゲティ
シゲティ(Vn)/ドラティ/ロンドン交響楽団(61、PHILIPS)は”精神性”。
””でくくったのは、引用・受け売りだから。

このCDの解説は故・宇野功芳さんによるもの。
『あふれる精神美~ヨゼフ・シゲティの芸術』という題で認められている。
クライスラー、エルマン、ティボーなどの歌うヴァイオリンに対して
シゲティは『厳しい精神によって音楽の内奥に肉薄した』とのこと。
そしてシゲティはヴァイオリンのような深みに乏しい楽器で
敢えて流麗な弾き方や甘美な音を避けていた、とも。
『音もかすれ気味だし、ヴィブラートも粗くなりすぎ、音程が絶えず揺れている
ので、気になる人もいるだろうが、内容表現の深さはそれを補ってあまりある。』
と結んでいる。

なるほど・・・。

素人の私が聴いてもこのヴァイオリンは痛々しい。
ただ、聴いていてハラハラしてしまい音楽的な感動に至らなかったのは
私の補う力の未熟さ故だと思う。
シゲティとしては以前のモノラル録音のほうが私には良かった。

どこかに「小学生のヴァイオリンの発表会をモノラル録音して独大家名で
出せば日本では『精神性が高い演奏』と高評価される」などという
驚くようなことを書かれていたことを思い出すが、
勿論この演奏はそんなことはない。

なお、カデンツァは第1楽章(20:33~23:42)はブゾーニ、
第3楽章はヨアヒムという珍しい組み合わせ(以前は両楽章ヨアヒム版)。
ブゾーニのそれは技巧を見せびらかすのでなく現代的でセンスが良い。
ただ、案外メロディアスで歌っており宇野氏のシゲティ論と
必ずしも一致していない。

ドラティ指揮のオケは気迫のこもった演奏を展開するし、
ヨレヨレのヴァイオリンをしっかりサポートして立派。

録音はワトフォードタウンホールでのセッション。
この時期の録音としては満足いくもの。
鮮度はさすがに落ちてゴロもあるが、低域からしっかり入る。
ただ全体にセピア色の懐かしい感じを受けるのは演奏によるものかも。

24:57  10:26  9:30   計 44:53
演奏   ?    録音  86点

コメント

シゲティ
この演奏、最近初めて聴きました。
感想は・・・
「ハリゲンシュタットの遺書」を経ての曲なのだ・・・と。
優雅さとか甘美さとかでは例えばパールマンにまったく敵いませんが
実に味のある演奏だと思います。

ドラティ&ロンドン響は実に素晴らしいですね。
同コンビの第5交響曲も良いです。
No title
シゲティもドラティもハンガリー出身。
よく即物主義とも言われましたが、
この演奏は両者ともにそのようなことは全くないですね。

管理者のみに表示

トラックバック