クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

バーンスタイン ミサ 自作自演(71)

2017.07.11 (Tue)
バーンスタインミサ曲
バーンスタイン/管弦楽団(71、SONY)は究極の自作自演盤。
これ以上の演奏が現れるとは思えない。それほどの内容。

しかし、作曲者の死後徐々に勇敢な挑戦者が現れている。
ナガノ盤(2003年)、K、ヤルヴィ盤(2006年)、オールソップ盤(2008年)。
そしていま最も楽しみにしているのが国内で23年ぶりのこの曲の上演。
(7月14日・15日、大阪のフェスティバルホール)
総監督・指揮・演出が井上道義で大阪フィル、大山大輔(バリトン)ら18人の独唱、
混声合唱、児童合唱、ジャズバンド、ブルースバンド、そしてダンサーら、
出演者の総勢200人とある。
これを見逃したら一生後悔するかもしれない、と思い大阪を目指す。

この「ミサ」は、バーンスタインがニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督を
退いた後、故ケネディ大統領の元夫人ジャクリーン・ケネディの委嘱によって
1971年に作曲され、J・F・ケネディ・センターのこけら落としとして初演された。
tl_1971_mass.jpg

ローマ・カトリックの典礼文(ラテン語)が用いられ、その形式に従っているものの、
純粋な宗教音楽というよりは、文字通り聖俗入り混じった舞台作品。
70年代初頭のアメリカを覆っていた不安や閉塞感を映し出し、
宗教的・政治的権威への疑問を投げかける内容となり、物議を呼んだ。
司祭(バリトン)は徐々に信仰の危機に陥っていく。
ミサは、司祭や信徒、ときには舞台上のロック歌手やブルースバンドなど、
様々な登場人物が典礼文を受けて発する英語のコメントによって
しばしば中断され、交わらない対話のようにして進む。
davis_2_600_1.jpg
この曲はたぶん正当に評価されていない、と思う。
まず音楽は極めて折衷的でクラシック的には軽く
各種他ジャンルの音楽形態が持ち込まれるためどの立場からも
中途半端とみなされる。専門家と称する人にとってはやっかいだ。
しかも内容が政治臭もあり宗教的にも問題が多い。

ただ、最初に接したとき、ノンポリ・無宗教・アマチュアである私は
楽しく美しいこの曲に感動した。何度も聞いた。
正直に言って内容は今でも深く理解できていないのだろう。
でも聴こえてくる音楽が素晴らしい。

そして指揮者としてではなく作曲家として認められたかった
バーンスタイン、その人自身の葛藤を思う。
アイデンティティを失った自己破滅的なあまりにも人間臭い天才の音楽だ。

コンサートの予習のために英国プロムス2012年公演を観ていたら
最後に感動で泣けてきた。

この曲は難しいことを考えなくても言葉がわからなくとも楽しめる。
冒頭の混沌からスクッと立ち上がる「シンプル・ソング」。
ここでぐっと掴まれる。
その後の混乱と浄化の過程に数々の印象的でメロディアスなナンバー。
そして最後の「シークレット・ソング」の清らかで感動的な終結。

録音は当時のSQ・4チャンネル再生を念頭にしたセッション。
別録のテープも使われ音場がぐるぐる回る。
ステレオでは左右の分離と移動が明快。当時の優秀録音。
ただアナログ時代なので電子音で少し濁りも感じる。

演奏  神  録音 88点

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