クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 レーゼル(91)

2017.07.01 (Sat)
レーゼルpcon1234
レーゼル(p)/フロール/ベルリン交響楽団(91、DS)は美しい。
単なる表面的な音の美しさだけではない秘めた憂いをも纏う。
自己顕示は無く健全な誠実さがある。
若い頃ならばこの演奏がこれほど佳いなんて思わなかっただろう。

サントリー山崎
『歳月には力がある。歳月を養分にして、この琥珀色は滴った。
だからピュアモルトの香りは、言葉に溶けてしまわない。
はっきりと呟きが聞こえる。凛としたモノローグである。
朴訥だが明晰。シンプルだが、奥が深い。
なんという矛盾だろう。
静謐があって、覇気がある。
ゆったりと、鷹揚で、大きな流れと、
縦横無尽に闊歩するものとが、同居している。
なにも足さない、なにも引かない。
ありのまま、そのまま。この単純の複雑なこと。』
サントリーピュアモルトウイスキー山崎の名コピーが
レーゼルのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集にそのまま当てはまる。
Rosel-Peter_20170701224127b9a.jpg
繊細で均整のとれたピアノ、柔らかさと強さのオケ、清らかな響きの会場。
これらが若書きのこの第1番をここまで心に沁みいる音楽にした。
全てが自然の中で流れる。

なお、この演奏の更なる注目点は第1楽章のカデンツァ(12:50~15:12)。
ベートーヴェンの自作は3種。
①経過句のような短い版
③ピアニストの技巧を誇示するかのような5分に及ばんとする長大な版
③未完成版。
多くは②か①だと思うがここでは③をベースにしたもの。
この版を使用したピアニストは他に思い浮かばないが(リヒテル?)
程よいバランス感でいいのではないか。抒情的でくどくない。
レーゼルのセンスだろう。

録音は旧東ドイツのベルリン・キリスト教会でのデジタル・セッション。
Evangelische_Christuskirche_Berlin_Oberschöneweide
ドイツ・シャルプラッテン録音陣の最後の仕事期でこのあとエーデルに移行。
このレーベルのこの教会とドレスデンのルカ教会の音は好きなので
それだけで手が出る。清らかで伸びのよい音が気持ちよい。  

15:36  11:25  8:44   計 35:45
演奏   S   録音  94点

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