クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベートーヴェン 交響曲第7番 バレンボイム(89)

2017.05.10 (Wed)
1989バレンボイムBPO
バレンボイム/ベルリンフィル(89、SONY)はベルリンの壁開放コンサート。
このライブの異様な熱気はその背景を抜きに理解できない。

戦後1949年に東西ドイツができ、1961年には突如ベルリンは壁により分断された。
時が経ち1989年東欧の民主化が進行する中、国内のガス抜きのため
東ドイツは旅行規制の緩和に動いた。
が、それは11月9日の夜に国境の開放として伝えられ、何が何だかわからないまま
検問ゲートが開かれ、事実上ベルリンの壁が崩壊した。
当時世界は詳細不明のまま壁によじ登りハンマーで壊す民衆の姿を映し出していた。
ベルリンの壁
しばらくしてそれは東ドイツのスポークスマンの誤解による発言が
引き起こした事態だと分かるが時すでに遅し。
結局東ドイツは一年もしないうちに崩壊し西ドイツに吸収される。

壁崩壊の二日半後、
ベルリンフィルは東ドイツ市民のための無料のコンサートを開催した。
その記録が本盤。
壁が実質崩壊したのは11月10日。その翌日にはこのコンサートが決定され
ラジオで実施が伝えられた。誰が言い出したのか知らないが、関係者が即決を
支持し全員猛烈なスピードで動いたはず。
その一人がバレンボイム。
たまたまベルリンでオペラ収録のため滞在していた時この事件が起こった。
そしてベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番の弾き振りと交響曲第7番の指揮を
引き受けた。
カラヤンはこの年の7月に亡くなっていたのでベルリンの壁の崩壊を目の当たりに
することはできなかったが、本拠地フィルハーモニーを東西ドイツ統一後の
ベルリンの中心に置こうと尽力した。
東ドイツ市民はいつかは壁の向こうに見える西側のフィルハーモニーで
ベルリンフィルを聴いてみたいと思っていた。それがついに突如としてかなった。

さて演奏だが非常に堂々と始まる。テンポも急いてはいない。
しかしいちいち音が強い。これはカラヤンの時のように出せと言われて音を出すのでなく、
団員が興奮してつい強固になってしまったような感じだ。
バレンボイムはこの段階では冷静を保つ。

第2楽章も遅めのテンポだが盛り上がりの音の起立はすごい。

第3楽章あたりになるとティンパニが完全に仕切っている。

終楽章は指揮者が興奮状態。
映像で見る限りオーバーアクションで汗が噴き出しながら体がうねる。
オケはしっかりしたもので統制がとれているが流石に後半はタガが外れる。
バキバキと右から何の音かと思うとコントラバスの弓が思い切り胴に当たっている。
ティンパニが見事にしめる。
聴衆はいきなり総立ちで歓声を上げる。
Daniel-Barenboim-Konzert-12-November-19.jpg
1989-DCH-.jpg
録音は西ベルリン・フィルハーモニーでのライブ。
予想外に音がいいので驚く。
ドキュメンタリー映像で確認できるがマイクが何本も天井から吊ってあり
細部までしっかり録れている。
ホールトーンも両立しており、俄か仕立ての録音と思えないレベル。

12:06  9:04   7:39  7:36   計 36:25
演奏   歓   録音  90点

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