クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ブラームス ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編) クラフト(64)

2017.02.05 (Sun)
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クラフト/シカゴ交響楽団(64、SONY)は渾身の十字軍。
濃厚ロマン派ブラームスというよりシェーンベルクの青白い情念に比重が置く。

アメリカのの指揮者・著述家ロバート・クラフト(1923~2015)は先年92歳で亡くなった。
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この人はストラヴィンスキーの長年の助手として有名だが、米国に亡命してきた
シェーンベルクのエキスパートでもあった。
クラフトによる世界初の「シェーンベルク全集」は話題となり日本でも1971年の
レコード・アカデミー賞特別部門を受賞している。
本盤もこの全集に含まれていたもので、この曲の世界初のセッション録音だった。

演奏は全曲が38分でその後に続く演奏に比べるとかなり速めだが、
1938年の依頼者でもあり初演者でもあるクレンペラーのテンポに近似している。
なお、マルティノン時代のシカゴ響の唯一のコロンビア録音だが
やはりこのオケは完璧だ。

第1楽章から速いテンポをとるがその中でも歌わせておりのっぺらぼうではない。
指揮者の唸りも随所で入っていて思いがたぎる。

第2楽章は快適なテンポで爽やか。
ゲシュトップのホルン音の強調などは無くノーブル。

第3楽章は軽やかに楽想の変転を描く。ここでもマーチはけばけばしくなく
落ち着いた響き。

終楽章は7分台と軽やか。アップテンポでフレーズが次々に飛び込んでくる面白さ。
溜めは無く直線的に終結に飛び込む潔さは実にかっこいい。

録音はシカゴのオーケストラホールでのセッション。
録音年代を見なければ半世紀以上前の録音と思えない。
リマスターも威力を発揮。
ホールトーンと個々の楽器のフィルアップの融合バランスが適切。
これは当時のRCAを越える優秀録音だ。
自然な左右の定位、量感などセンスが良い。

12:25  8:06  9:43  7:50   計 38:04
演奏   A+   録音  89点

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