クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ブラームス セレナード第1番 シャイー(2012)

2017.01.05 (Thu)
シャイーせれ12
シャイー/ゲヴァントハウス管弦楽団(2012、DECCA)は
習作の域を超えた交響曲0番といえる。

近時のシャイー&GHOの特色がここでも出ている。
シャイーを迎えてからのゲヴァントハウスはどこにもない充実の響きを獲得した
(彼のカペルマイスター(2005~16)は終了したが今後このオケはどうなるのだろう)。
溜めを作らず突っ込む速めのテンポ、そして凝縮された音で躍動する。
速いのだが十分に彫が深い。そこが直裁的なボールドとの違い。
ほんわかのんびりセレナードではなく、まさに交響曲といっていい。
今までのこの曲の概念を覆す画期的演奏。

第1楽章の勢いにまず圧倒される。
前の音に重なるように前傾して音楽が進められる。
ザクザクした弦はずっしり感があり、そこにい綺麗な管といぶし銀のホルン。
呈示部の反復を実行しながら11分半は保有盤最速。
最後の愛らしいフルートの部分がそっけないのは残念だがこの演奏方針だ。

第2楽章も揺れながら弾む。

第3楽章は長閑さはない。
草原にたたずんでゆったり気分を味わおうとするには向かない。
しかし冗長を感じる場合にはこの疾風は心地よい。

第4楽章は非常に綺麗だが過度の感傷を排除する。

第5楽章は痛快。アップテンポでアクセントも決まる。

終楽章へはアタッカのような勢いで入る。
リズミックで輝かしいが決して浮つかない響きはこのオケのもの。

ブラームスの若書きのセレナーデとして味わおうとすると違和感があるが、
隙のない立派な交響作品となった。

録音は本拠地ゲヴァントハウス(三代目、1981建設)でのセッション。
ゲヴァントハウス
シャイーのアムステルダム時代の録音よりもこのオケのコンヴィチュニー時代の音
(ベタニア教会)に近い。直接音がしっかり入りながらもまろやかさを残している。
鮮明さよりも少しくすんでいる。音が締まっているので気持ちいい。

11:31  6:30  9:56  3:43  2:19  5:09   計 39:08
演奏   疾A+    録音  94点

コメント

No title
安曇野様
有意義な批評をありがとうございます。
いつも大変面白く拝読しております。

>>シャイーを迎えてからのゲヴァントハウスはどこにもない充実の響きを獲得した
まさにおっしゃる通りだと思います。
私はシャイー&LGOの音色と、ロマン敵な感傷や慣習に溺れない演奏が大好きなのですが、雑誌やネットの評論を見ていますと、伝統の破壊だの空虚だの軽いだのといった、テンポの早い演奏に対する紋切り型の批評から、果てはこの男は万死に値するなどとまで言い切ったものまであります。
私自身はクラシック音楽に親しんでから約5年程度と日が浅いものでして、また生来からの音痴も手伝い、自らの感性にあまり自信が持てませんでした。
音楽を楽しんで聴いている最中にも、ふとした拍子に、もしかしたら間違っているのは自分の感性の方なのかも……と思い返すこともありました。
しかし、今回の安曇野さんの批評を読み、経験の豊かなクラシック音楽通にも私と同じ意見の方がいらっしゃるのだと知って、勇気づけられた気がします。
これからはもっと素直な気持ちで自分の感性とシャイー&LGOの演奏に迎えそうに思います。
本当にありがとうございます。
長文にてのお目汚しを、失礼いたしました。
シャイー
ご丁寧なコメントありがとうございます。私の感想がお役に立てたなら嬉しい限りです。

シャイーとゲヴァントハウスの凄さを決定づけたのは、私的にはメンデルスゾーンの「スコットランド」でした。
http://karajan2.blog101.fc2.com/blog-entry-1748.html

彼らのベートーヴェンやブラームスもやはり新境地を開いたものと感じています。

なお、私の場合、音楽の楽しみ方は人それぞれだと思っていますので、世評とずれていたり、名もなき演奏家に感銘を受けたりしています。

まあ、それでいいかな、とお気楽に考えています。どうか今後ともよろしくお願いいたします。

管理者のみに表示

トラックバック