クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ブラームス セレナード第1番 ストコフスキー(61)

2017.01.03 (Tue)
ストコフスキーセレLP
ストコフスキー/シンフォニー・オブ・ジ・エアー(61、DECCA)は愛すべきセピア色。
そして第4楽章は泣ける。

ストコフスキー(1882~1977)はことのほかブラームスを好んでいた。
この佳曲を取り上げたのも、そして演奏もそうした愛情が垣間見れる。
ストコフスキー

一方このオケの前身はトスカニーニのためにRCAが用意した「NBC交響楽団」(1937~54)。
トスカニーニの引退で親会社から見放され自主運営の団体として残った。
「死ぬことを拒否したオーケストラ」
という異名をとったが結局1963年には解散に追い込まれてしまう。
このオケのステレオ録音としても本盤は貴重だ。
NBC響時代は優秀な楽員が揃っていたが、徐々にそうしたメンバーも他に移っていたという。
なお、「Symphony of the Air 」とはNBC時代のラジオ番組名とのこと。素敵な名称だ。
(↓このオケは1955年来日した。出典:毎日新聞)
シンフォニーオブジエアー

さてこの演奏、響きの少ない収録もあってインティメートな雰囲気。
奇抜な部分はなく、穏やかで何かとても懐かしい。
派手さはないし、第3楽章のアダージョも落ち着く。

特筆すべきは第4楽章。
このメヌエットをここまでゆっくり感動的に演奏したものはない。
最初はおどけたムードで好々爺が昔話を語りだす。
しかし、突然ぐっとテンポを落とし短調に移行し切ないメロディを歌い出す場面は
聴く者に衝撃を与える。昔の哀しい出来事を思い出し急に涙がこみ上げてきた。
齢80歳のストコフスキーがこの部分だけ情感が溢れてしまっているのが分かる。
悲しい曲を悲しく演奏するのは心の準備ができているが
この明るい曲でこの不意打ちは反則ではないか(泣)。
第5楽章以降は再び楽しく振舞うだけに余計に印象深い。
滋味に満ちた演奏だ。

録音はニューヨーク・マンハッタンセンターでのセッション。
同じ場所でのバーンスタインの録音ではかなり響きがあるのだが、
この米DECCA録音は同じ場所と思えないくらいデット。
トスカニーニの時の8Hスタジオのような雰囲気だが・・・。
音はやや古いが鮮度は保たれておりステレオ感も十分。
ただ、フォルテではやはりもう少し潤いが欲しくなる。

12:30  6:52  12:34  4:52  1:48  5:36   計 44:12
演奏   涙A+     録音  84点

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