クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ブラームス セレナード第1番 ハンドリー(88)

2017.01.01 (Sun)
ハンドリーセレ1
ハンドリー/アルスター管弦楽団(88、Chandos)は夢見る心優しいセレナーデ。
新しい年を迎えるにあたって幸福感に溢れた曲はないかと思ったときに
ぱっと浮かんだのがこの曲のこの演奏。

作曲時、青春まっただ中のソプラノ美男子のブラームス25歳。
ブラームス1853
クララ・シューマン(39歳)と濃密な親交の中、
クララシューマン
アガーデ・フォン・ジーボルト(23歳)と婚約。
AgathevonSiebold.jpg
しかし、「あなたを愛していますが、束縛されたくない。
あなたの元へ愛を伝えにいっていいかどうか、あなたの考えを教えて下さい。」
なんて手紙を出すものだから破談に。正直者というか優柔不断というか・・・。
こんな性格だから生涯独身。故に傑作を世に出し続けたともいえる。

それはともかく、肩に力の入っっていないこの曲はピュアな才能を感じる。
こんな愛すべき曲がマイナーなのはちょっぴり冗長だからだと思う。
LP時代の片面に入りきらず、交響曲の余白としても長すぎる。
コンサートで感動を求めて集中して聴くというより、
陽だまりの中ゆったり愉しむという音楽。

さてこの演奏、英国の名指揮者ハンドリー(Vernon Handley、1930~2008年)が
Vernon-Hadley.jpg
室内オケ上がりのアルスター管とともに青春の曲を慈しみながら演奏している。
穏やかではあるがキラキラした幸福感に満ちている。
そして、シャンドス・マジック。ソフトフォーカスで豊かな響きが実にマッチ。

第1楽章の冒頭はとにかくキャッチー。弦の伴奏に乗ってホルンがクラリネットが
洋々とウキウキしたテーマで主導すると、トランペットとオケが呼応。
甘美な第二主題も絡めながらソナタ形式の折り目正しさも持つこの楽章は素敵。
そして最後にフルートがお茶目に締めくくる。これが何ともいい。

第2楽章唯一の短調楽章で少し憂いを帯びた表情は将来のブラームスを
予感させる三拍子。

第3楽章はアダージョ。彷徨う音楽はシューベルトとブルックナーを足した面持ち。
特にこのハンドリーのテンポはゆったりで14分超。重くはないがあてのない散歩。
弦のそよ風に乗るホルンや管が綺麗。

第4楽章はポコポコとおどけた感じに挟まれた
優美などこか寂しい中間部を持つメヌエット。
演奏は密やかなユーモアを湛える。

第5楽章は勇壮で大らかなスケルツォ。ホルンが広大な音場に響く。
ヘンデルの水上の音楽のような壮麗さ。

第6楽章のロンドはリズミックで決して頬笑みを忘れない。
人生を肯定するような音楽をこの演奏は明るく奏する。

録音はベルファストのアルスターホールでのセッション。
UlsterHall.jpg
響きのマイルドなホールトーンを使い心地よい音場。
交響曲ならば少しソフトすぎるかもしれないが
セレナーデでは現実感のないこのような音もいい。

12:31  7:37  14:18  3:49  2:39  5:20   計 46:14
演奏   S    録音  94点

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