クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ブルックナー 交響曲第1番 シャイー(87)

2016.11.28 (Mon)
シャイー1
シャイー/ベルリン放送交響楽団(87、DECCA)はウィーン稿(1890/91年)による演奏。
同じ稿のギーレンの方が後期ブルックナーサウンドだが、こちらはもっと腰高スリム。
この録音時はシャイーがブルックナーに取り組み始めたころ。
因習に染まらぬ明快な鳴らし方。同じウィーン稿でも印象はかなり違う。
響きとしてはむしろ若いリンツ稿(1865/66年)にフィットしている感がある。

第1楽章は中庸のテンポだが金管などしっかり鳴らし華やかさ、若さを感じさせる。

第2楽章も弦の切々とした歌を強調。
ギーレンが慌てず騒がず重厚なまま押し切ってしまうのに対し、
シャイーはもっと色々な物を見せようとする。これが新鮮でもあり違和感でもある。

第3楽章も若々しい。スケルツォとトリオの対比がくっきり浮かび上がる。

終楽章はリンツ稿と一番違いを見せる。
小節数は両稿略変わらないが、
ウィーン稿はテンポの指定が微細にわたり、概ね遅くなる。
これはブルックナーが雄大さを演出する方向に舵を切ったのだと思う
確かにリンツ稿は「運動的に、火のように」という指定がそのまま感じられるが
ウィーン稿はギアチェンジが頻繁で若さにまかせて
断崖絶壁から飛び降りるという雰囲気は薄い。

シャイーの演奏も18分超と通常のリンツ稿の演奏(12~15分)と比べると長い。
(もっとも、マゼール盤のようにリンツ稿を使っていても18分超の演奏で
堂々としたスケールを出してしまう演奏もあるが)。

そして聴きどころは終結。
じっくり力を溜めて壮大に噴出させるのがウィーン稿だが
シャイーはそのテンポの指定を守りながらハリのあるサウンド。
特に終結16分からぐっと沈み込み輝かしく突き上げる。
リンツ稿と全く違う終結を知らしめる。

なお、このベルリン放送交響楽団は旧東ドイツのそれではなく、
現在ベルリン・ドイツ交響楽団と改称している団体。

録音は旧西ベルリン・ダーレムのイエス・キリスト教会でのセッション。
つまりカラヤン・DGが60年代使っていた場所。
Jesus-Christus-Kirche Dahlem
Jesus-Christus-Kirche Dahlem1
DECCAの音はDGに比べると直接音主体で明快でかっちり。
低域の量感やムードが少ない。
同じ場所でもレーベルでかなり音が変わるものだ。

ウィーン稿
13:12  13:45  9:11  18:04   計 54:12
演奏   A    録音  91点

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