クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベートーヴェン 交響曲第3番 セル(57)

2016.10.20 (Thu)
eroica-szell.jpgセル英雄
セル/クリーヴランド管弦楽団(57、SONY)は美しい筋肉。
冒頭の2発は鋭いインパクト。
そして終結まで一気に聴かせる引き締まった運びに魅了。

私がこの演奏に初めて接したのはCBSソニーの「音のカタログ」というLP。
70年代半ばこのレーベルの「ベスト・クラシックス100選」というシリーズの
サワリが聴ける販促物(@500円×2枚)。

そこに映画評論家の故・荻昌弘氏の
『名演は断片でも名演。私は1分23秒のセルの「英雄」に泣いた』
というような宣伝文句があった。
100枚のLPの中からわざわざ当時無名のこのLPを取り出して
シリーズ代表のように置いたこの意外性はパンチがあった。

なんといっても「英雄」ならフルトヴェングラーやカラヤンという時代だ。
また、このシリーズではワルターの「英雄」もフューチャーされており、
なぜセルの「英雄」が重なって投入されていたのかも謎といえば謎。

たぶんこの演奏に猛烈に惹かれていた制作側の人間がいて
意図的に潜り込ませて推したのだと思う。
その甲斐あって(?!)セルのベートーヴェンの中で一番有名ではないか。

(↓録音年の1957年 ザルツブルグでカラヤンとセル)
Herbert Von Karajan George Szell Salzburg 1957

果たして演奏は・・・。
最初から最後まで身の引き締まる音。
凝縮を伴いしなやかにしなり、一切停滞がない。
指揮者が唸りながら鞭打つ。極めて強固な意志が支配する。
ロマン的に肥大した演奏と一線を画し、
古典的にキリリとした造形がこの交響曲を実にかっこよくしている。

付け加えると、表面はクールなのだがそのすぐ下には
マグマが流れている。第2楽章では危うく噴出しそうになる。
そうした時を経るから、一気呵成の集結では鳥肌となる。

この演奏はミケランジェロのダビデ像を想起させる。
ミケランジェロ ダビデ

録音はセヴェランスホールでのセッション。
量感溢れるホールトーンはあるがこの演奏の持つ引き締まり感は損なわれていない。
モニターのような環境なら厳しいが通常の再生では
ステレオ初期のものながらリマスターもよく今でも十分聴ける。

14:46  15:34  5:33  11:27   計 47:20
演奏   S   録音  87点

コメント

音のカタログ
「音のカタログ」、私も持ってました。確か「交響曲篇」でした。

ブルックナー
「第4」・・・第1楽章冒頭
「第7」・・・第2楽章冒頭

マーラー「第2」・・・第1楽章冒頭

という「絶妙な」選曲で、当時「未知」のこれらの曲に関心が高まりました。
音のカタログ
影の王子さんも音のカタログを聴かれていましたか。
当時は今のようにネットによる情報もなくFM程度が音の情報源だったのでこれには随分お世話になりました。
No title
この曲、勝負どころ色々あれど個人的には終楽章、コーダのPrestoの扱いが肝。
セルのテンポ感は何度聞いてもたまらない。
他の指揮者の多くは過去の大家の演奏スタイルににとらわれすぎでは、なぜ遅くしたがる? セルの他にはスウィットナー盤の疾走系も大好きですよ!
No title
モッキンバードさん
同感です。セルの終結部は惚れ惚れしますね。
スウィトナー盤は聴いたことがないです。情報ありがとうございます。

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