クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベートーヴェン 交響曲第6番 チェリビダッケ(93)

2016.10.10 (Mon)
チェリビダッケ田園
チェリビダッケ/ミュンヘンフィル(93、EMI)はなんと51分。
それも第1楽章リピートなしで。勿論聴く前から覚悟はできている。
『こちら、チェリですから』

「散歩」という軽い印象ではなく「曇天・嵐を通して不思議心象旅」。
爽やかな演奏と対極だが魔術に魅せられる。

第1楽章は遅いだけでなく重い。フルトヴェングラーも遅かったが、
ウィーンの優美を纏っていた。こちらは暗い。
テヌートがかかり音がしなだれかかる。

第2楽章も同様の世界で16分。この演奏の白眉。
チェリ麻酔が効いてくる。
このテンポ感に体が馴染んでくるとほどなく浮遊感が始まる。
意識が空を舞い、弦が、管が頬を撫でながら霞めていく。
現世体験とは違う世界。
雲_R
終結の小鳥のさえずりで戻ってくる。

第3楽章も全く弾まない。そっとした出だしから風変わりだが、室内楽的な響き。

第4楽章の嵐も全くこけおどし感ない落ち着いた透けた音。

終楽章は12分。遅いのだが、落ち着いた丁寧な歌はぐっとくる。
抑えに抑えた弦のナイーブな囁きは、神聖で宗教的。

一般の「田園」の範疇を逸脱した演奏だが、不思議な体験ができる。

録音はガスタイクホールでのライブ。
同年来日時に東京芸術劇場で同曲を演奏しているが録音はあるのか?
それはともかくミュンヘンでの記録はソフトフォーカスながら水準の高い。
解像度はそこそこながら個々の楽器はしっかり捉えられ
この演奏に必要な空間表現もできている。

11:48  16:14  6:31  4:30  12:02   計 51:05
演奏   浮    録音  92点

コメント

No title
93年のチクルスは一時全てLDで出ていたと思います。僕はこの時4番をサントリーで聴きました。
No title
リベラ33様
LDで出ていたのですか。
確か最後の来日ですね。
聴きに行かれていたとは羨ましい。
やはりこの指揮者は録音に収まりきらないのでしょうね。


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