クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベートーヴェン 交響曲第6番 ムーティ(87)

2016.09.15 (Thu)
ムーティ6
ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団(87、EMI)は夢幻。
ピアニッシモ勝負。実にユニークで惚れ惚れする演奏。
テンポはゆっくりでBGM的演奏といわれても仕方ない。
「田園」の代表盤は、と聞かれて本盤を挙げる人はおそらくいないのではないか。
しかし、私はこの盤に心を奪われる。

第1楽章は終始優しくきれい。美麗な音に惹きこまれてしまう。

第2楽章も実にソフトタッチ。息を潜めるような弦がほんのり歌う。
スコアにないミュート戦法。これはベーレンライター版(1998)を先取り?
木管も最高。ちょっと耽美的にすぎないかと思うほど。
この世のものと思えないような風景。
花

第3楽章も前楽章の流れを引き継ぎ、つつましい田舎の集い。テンポもおっとり。

第4楽章の嵐も実におおらか。追い込むような切迫感はなく余裕。

終楽章はまたもやフィラデルフィアの弦を前面に出すのだが、
いつもの弦圧の強さがどこにもない。
弦に乗ってホルンが展開する場面はブルックナーの「ロマンティック」に通じる。
アクセントも穏やかでなだらかな稜線が続く。
夢草原
コーダの弦楽の分散と集結には感動する。癒しの「田園」。

録音はフィラデルフィア・メモリアルホールでのセッション。
この時代の標準的水準。弦がうまく録れているのがありがたい。
自然な音場でスケール感もある。
演奏が派手なピークを築かないこと、鮮烈さを求めていないことから
このEMIのほどほどの録音はかえってプラスになった。

12:38  12:39  5:53  3:59  10:21   計  45:30
演奏   儚A+     録音 90点

コメント

安曇野さん、こんにちは。ムーティとフィラデルフィアの田園はいいですよね!私もよく聴いています。優美だし巧いです。このときの全集では、2番と4番も溌剌としていて素晴らしいです。
No title
カズヒロ様
同じ感想をお持ちの方がいて嬉しいです。
ムーティ=若造イタリア人というイメージで日本ではこの全集はあまり注目されなかったように記憶しますが、なかなかの名盤だと思います。2番聴きかえしてみますね。

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