クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

バルトーク 管弦楽のための協奏曲 ライナー(55)

2016.08.13 (Sat)
ライナー
ライナー/シカゴ交響楽団(55、RCA)はやはり素晴らしい。
半世紀以上たってもこの盤が存在価値を失わないのは凄いこと。
演奏のみならず録音も一直線で進化して来たわけではないことを痛切に感じる。

また、この盤を聴くとライナー(1888~1963)とバルトーク(1881~1945)との
関係を思い出さずにおれない。
もともとブタペスト音楽院で師弟関係であったが、師であるバルトークが
1940年米国に亡命してきたときには金銭的にも心身も悲惨な状況であった。
一方のライナーは先に米国に来ていて名声を欲しいままにしていた。

バルトークの窮状を見かねたライナー(とシゲティ)が作曲の委嘱という形で
バルトークに金銭的支援を思い付くが、それが昔の弟子からのものだと知ると、
憐みを嫌う性格から受けないと考え、
『クーセヴィッキー生誕70周年とボストン響音楽監督就任20周年』という名目で
委嘱された。
依頼の際に、クーセヴィッキーは作品ができるかどうかわからないのに、
病気で伏せるバルトークの枕元に1000ドル小切手を置いてきたという。
決して人づき合いの良いとは言えないバルトークの周りに
このような善意があったことは幸せだった。
Bartok_Reiner_1942.jpg

そしてライナーのこの盤。
きりりと引き締まり筋肉質なのだが、知情のバランスがとてもよい。
同じシカゴ響でもショルティの方が一直線。こちらは歌わせる場面がある。
第2楽章の「対の遊び」は極めて速いが第3楽章はじっくり「悲歌」を味あわせる。
終楽章はスピーディで快感を伴う。

録音はシカゴのオーケストラホールでのセッション。
RCAビクターはクラシックのメジャのトップを切って1954年から本格的に
ステレオ録音を開始したが、その翌年の録音がこの優秀さなのだから驚く。
Dレンジは広く全く天井を感じさせない。
鮮度も高く自然な音場と相まってこの曲を味わうのに全く不足がない。
テープヒス・ゴロも全くないわけではないがリマスターもよい。
左右を大きくかつ奥行きもたっぷり。
なお、録音で聴く限り変形両翼配置に聴こえる。

9:56  5:58  7:55  4:13  8:58   計 37:00
演奏   A+    録音 88点

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