クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

バルトーク 管弦楽のための協奏曲 チェリビダッケ(95)

2016.08.11 (Thu)
チェリヴィダッケ
チェリビダッケ/ミュンヘンフィル(95、EMI)は弱音耽美炸裂。
圧倒的最長演奏時間。チェリビダッケ(1912~96)の亡くなる1年前の指揮だが
積極的意志が全編覆うので単純に老齢=遅延ということでもない。

チェリのバルトークなんて聴きたくない、と思いつつつい怖いもの見たさで聴く。
聴くとヘンテコな演奏だと思いつつ惹きこまれてしまうから嫌だ。
ただ、やはり健康健全なお子様にお薦めできるとは到底思えない。
Celibidache-Sergiu.jpg

第1楽章冒頭遅いのは承知の上だが、こんな弦のディヴィジは聴いたこともない。
スコア上は何も書いていないはずの微細な表情がついている。
たた、テンポは異常に遅いので、この音楽の運動性や緊張感はけし飛んでいる。
飽きてくるところでこの楽章が終わる。

第2楽章のデンデン太鼓音はまたしてものんびり。
木管のソロを浮かび上がらせその点では耽美的ともいえるが軽妙さはない。
楽器のハーモニーを大切に扱うのはわかる。
ただ、このテンポの必然性はない。

第3楽章は完全にチェリ・ワールド11分。
弦楽の綾を中心に進む。悲劇性を強調せず絶叫もしない。
地上にいないことは確か。虚ろな意識の中彷徨い涅槃に向かう途中。
Buddhas_Nirvana.jpg

第4楽章は実にロマンティック。
ここでのテンポはまっとうだ。

終楽章はまるでスピード感はない。
ひたひたと冷静を装いインテンポで不気味に進む重戦車。
終結はこのオケの豪快な底力を見せる。
ティンパニの打ち込みがかっこよく決まる。その後盛大な拍手。
この指揮者はミュンヘンで幸せだった。

なお、本盤には25分にわたるチェリのリハーサル風景が収録されている。
高齢なのによくもここまで執念深くやるなと感心するとともに、
オケの忍耐にも驚く。

録音はミュンヘン・ガスタイクホールでのライブ。
非常に自然ながら低域からしっかり録れており弦の美感も十分。

12:38  8:23  11:00  4:43  11:08   計 47:52
演奏   悟    録音  92点

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