クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

バルトーク 管弦楽のための協奏曲 セル(65)

2016.07.27 (Wed)
セル     seru.jpg
セル/クリーヴランド管弦楽団(65、SONY)は燃えたぎる管理。
最初から最後まで恐ろしい統率。
その底辺にあるのが共感と情熱だから手に負えない。

一音たりとも抜かりがない。
それぞれの楽器のデュナミーク、節回し、そして楽器間の受け渡し、
スポットの当て方に指揮者の意志が徹底している。奏者に自由はない。
「対の遊び」に普通の意味での遊びはない。息苦しいほどの緊張が漂う。
半世紀前の録音だがここまで楽器の明滅がはっきりしている演奏はない。
四角四面の中に押し込めたセルのバルトークに対する怒りのような愛情。

終盤の改変(418小節を4回繰り返し、続く426~555小節をばっさりカット)で
評判の悪い最終楽章だが、よく聴いてほしい。
凝縮された弦がこうして必死の思いで掛け合っているのだ。
(セルの唸り声が何度も入っている!)
そこに管が加わり最後の悲鳴を上げているのに
なぜそこで終わりにしてあげないのか?
その後のぼんやりした楽想は弛緩以外の何物でもない、
一気に殺ってくれというセルの思いはひしひしと伝わる。

この演奏は涙なしには聴けない。
こんな熱い演奏を聴いた後では他が生ぬるく感じるからたちが悪い。
George-Szell_20160726225732944.jpg

録音はセヴェランスホールでの2日にわたるセッション。
このホールはしっかり響くはずだが、
この演奏はオンマイクで生々しい楽器音を捉えている。
これは、セルの指示ではないか。
一切の誤魔化しを許さない。奏者はたまったものではない。
弦の一本一本が見えるようだ。
生ではこんな聴こえ方はしない。だが、この曲ではすこぶる効果的。
なお、HERITAGE盤のリマスターがうまくいっている気がする。

8:54  6:22  7:18  4:08  7:58   計 34:40
演奏   S    録音  92点

コメント

No title
終楽章のカットで一般的には評価の低い録音ですが、
確かに演奏は凄いの一言です。
セルとバルトークが同郷と言う単純な次元ではありません。
No title
「ベストクラシック」とかの国内盤で以前聴きましたが
ピンときませんでした。
輸入盤でないと真価はわからないのでしょうか?
もう一度聴きなおしてみます。
つきつめすぎ?
影の王子さんのおっしゃるように
以前はそれほどでもなかったのですが
CDリマスターをヘッドフォンで集中して聞いたらセルが異常に燃えてているのがわかりました。
クールといわれるセルがホットになってそれがエッジのたった音に出ていると思いました。
ただし、これを以って一般的名演とするかは迷いましたので個人的に特別感の「S」にいたしました。

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