2016.07.24 (Sun)

カサドシュ(p)/バーンスタイン/ニューヨークフィル(61、SONY)は最高に粋。
どこまでも軽やかなピアノに爽やかな風を吹き込むオケ。
ロベール・カサドシュ(Robert Casadesus, 1899~1972年)は
パリに生まれパリで亡くなったピアニスト。
作曲家でもあり7曲の交響曲、3曲のピアノ協奏曲、
多数の室内楽曲を残している(私は未聴、聴いてみたい)。
カサドシュ一族は音楽・芸術の才に恵まれており
ロベールの先にも後にも音楽家を多数輩出している。
子供達もピアニスト・ヴァイオリニストであるが、
息子ジャンが72年カナダで交通事故死したのを境に
ロベールは急速に体調が悪化し後を追うように亡くなった。
(↓1969年カサドシュ夫妻と息子ジャン、幸福な時)

現在活躍中の指揮者J=クロード・カサドシュは甥。
ロベールは戦時中米国に亡命したことからCBS・コロンビアレーベルと
つながりが深く多数の録音を残している。
ミトロプーロス、ミュンシュ、セル、オーマンディ、バーンスタインとの協演盤も多い。
個人的にはオーマンディとのダンディ「フランス山人の歌による交響曲」と
ともにバーンスタインととのフォーレの「バラード」、そして本盤が忘れられない。
(↓ 1961年この曲の収録後、モニタールームでチェックする指揮者とピアニスト)

カサドシュの印象は「粋でダンディ」。タッチは軽く深刻ぶったりしない。
表情過多にならずサラリと行くが、なんか洒落ている。
第1楽章冒頭のオケとピアノの掛け合いからいい雰囲気。
バーンスタインもさらりとした風情で進め、ピアノが軽く対抗する。
音場が広いので弦の音が浮遊感を持ち実に綺麗。
この楽章ではオケは抑制を効かせピアノのリリックな囀りをサポートする。
アンダンテは夢見るようだ。
第2楽章の疾走感もたまらない。
後半のアレグロに入っても力づくにならず両者余裕を残す。
オケのスケールは徐々に大きくなり、その間をピアノが飛び回る。
最後の勢いは流石バーンスタイン。
録音はマンハッタンセンターでのセッション。
ここは残響が多く広大さを感じさせるホールだが、この録音では軽やかな風を
演出するのに大きく寄与している。古い録音だがリマスターもよく刺激が少ない。
この場所で収録してよかった。エイブリー・フィッシャーではこうはいかなかった。
11:34 13:39 計 25:13
演奏 S 録音 90点