クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ヴァレーズ アメリカ ブーレーズ(75)

2016.07.10 (Sun)
ヴァレーズブーレーズNYP
ブーレーズ/ニューヨークフィル(75、SONY)は透徹したクールさ。
最高にかっこいい。

ヴァレーズ(1883~1965)との出会いはいつだったか。
ストラスブール・パーカッション・グループの「イオニザシオン」、メータの「アルカナ」、
そしてこのブーレーズの「アメリカ」がそれぞれの曲の初体験だったように思う。
刷り込みがあるので何とも言えないが、いまだにこの曲で一番好きな録音。
95年のシカゴ響との再録音は鋭利な緊張感という意味では大幅に後退している。
ブーレーズの完全管理下に置かれたNYPも最高。

冒頭のアルト・フルートは確かに「春の祭典」のようだが、
ここには全く人の気配がないことにすぐ気づく。
非情なほどにひんやりした音が続く。
しかし、ただ、ダラダラした音ではなく「組織された音響」という
ヴァレーズのキャッチフレーズを見事に具現化した演奏。
バラバラ勝手な音塊が並置され提出さるようにみせかけるが、
実はリズム・響きがしっかり計算され聴き手の感覚に突き刺さる。

「現代音楽」というと作曲者がひたすら不協和音を絶叫させる曲があり
不快なだけというのがあるが、この曲この演奏ではそうした陰気さはない。
むしろ計り知れないリリシズムを感じさせる(特に前半)。

そして18分以降、音塊の無慈悲な連続衝突が
そのうち大きなうねりとして集結する場面は有無を言わせぬ恐ろしさ。
終結に向かう音響の波乗攻撃は息をするのが苦しくなるほど。
人間の情感を徹底して否定してくる。聴いた後は呆然となる。
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録音はニューヨーク、マンハッタン・センターかエイヴリー・フィッシャー・ホールか
なのだろうが音場は広いので前者か。
確か、当初はSQ quqdraphonic record(CBS/SONY)で4ch録音されていたはず。
ともかくソニーのアナログ期の最高峰録音だった(LP)。
CDリマスター後は少し丸くなったが今でも高録音。
パルスの鋭さ、パーカッションの風圧、ブルー系の空気感。素晴らしい。

24:11
演奏   S     録音  94点

コメント

No title
次はヴァレーズですか?さすがに幅広いお耳をお持ちですね。当方未聴盤のご紹介ありがとうございます。早速発注しました。来るのが楽しみです。
No title
ヴァレーズ自体は好き嫌いが
あると思いますが
この演奏は
さすがブーレーズだと思います。
ブーレーズ自体は当初ヴァレーズを
評価していなかったようですが
やるとなるとすごいです。
No title
実は、私自身がRシュトラウスの良い聞き手とは言えない状況です。音の洪水に耐えられないのです。そこでヴァレーズも触らずでした。
今回、構成された音の音響への挑戦という意味でヴァレーズを聞いて、都会の喧騒や緊張、ストレスの表現として素晴らしい音楽なのだなと思いました。Rシュトラウスにも再挑戦してみたいと感じた次第です。
ありがとうございました。
No title
北の火薬庫さんと
私も同じかもしれません。
R・シュトラウスの大管弦楽作品は得意とは言えませんが、「アルプス交響曲」である時ふと”人生”みたいなものを感じ見直すに至りました。
晩年の作品を除き、今でも全作品に共感しているわけではないのですが、
何かのきっかけで聴き方が変わることは
今までも体験していることですので
楽しみにしています。





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