クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

コープランド アパラチアの春 M・T・トーマス(99)

2016.06.26 (Sun)
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T・トーマス/サンフランシスコ交響楽団(99、RCA)は驚異の音響伽藍。
ここでMTTは通常の1944年13楽器原典版でも1945年組曲盤でもなく
1954年フルオケ完全版を使用。よって35分かかる。
しかし、特筆すべきは珍しい版の問題より、
このコンビの果てしないワイドレンジの表現能力。

冒頭の静謐には全く息を飲む。
一方、祝宴以降のテンポの速い部分でのホール全体が鳴るダイナミクス。
オケのコントロールは完璧。およそ、作曲者が当初描いた室内楽的世界とは
大きくかけ離れた世界。しかし、大管弦楽を聴く愉しみを味わえる。

パーカッションの風圧は凄まじく「シンプル・ギフト」変奏後のコーダに至る
組曲にない部分(「夜の恐れ」・「怒りの日」・「危機の時」)ではウーファーが飛びそう。

感動的なのは、31分過ぎからの「神の日」。
”シンプル・ギフト”の旋律がティンパニの強打を伴い爆発的歓喜で帰ってきたあと、
分厚い弦が包み込むように受け止める。
ここから終結に至る抒情の美しさは比類がない。大迫力と耽美的美感が交錯する。

先述の通り、本来のモダン・ダンスの付随音楽とはまるで違う音楽になっているが、
切り離して考えればよい。
そうすればMTTとこのオケが精緻に成し遂げた世界は誠にクール。

なお、併録は「ビリー・ザ・キッド」「ロディオ」だがこちらも一層凄い。

録音はサンフランシスコ・デイヴィス・シンフォニーホールでのセッション。
mtt sfso
このホールの音の良さは抜群だが、
それを空気感も含めて適切に捉えたRCA録音陣は凄い。

35:51
演奏   S   録音 97点

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