クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

チャイコフスキー 交響曲第1番 マズア(89)

2016.03.18 (Fri)
マズア1
マズア/ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(89、TELDEC)は何たるパワー!
終結は怒りにも似た叩きつけ。
表題の「幻想」から離れ「意志、闘志」が最後むき出しになる。
なぜなのか?

私はこのコンビのチャイコフスキーが好きだ。
低重心で馬力がありかつ思い切り歌ったりするがべとつかない。
ある意味ドイツ的。
チャイコフスキー26歳の時の若書きにしてはこの演奏はがっちりしすぎている感はある。

それにしてもこの演奏は尋常ではない。

思い当たるフシがある。この演奏が録音されたのは1989年8月。
東ドイツ、ライプチッヒは不穏な空気に包まれていた。
この2カ月後に当地で「月曜デモ」が起こり一触即発。
ここでマズアが立ちあがる。
その後1カ月でベルリンの壁が崩壊する。
この曲に不似合いなほどの力こぶと唸りはこうした背景と無縁でないように思える。
01_seit_september_finden_wie_hier_in_leipzig_die_sogenannten_montagsdemonstrationen_statt_.jpg

第1楽章は変幻自在の表情。基本はぶっとくいくが清廉な木管が癒し。
それにしてもこのオケの弦のザクザク音はかっこいい。音にハリがある。

第2楽章はたっぷりしたテンポで歌われる。木管の落ち着いた音色の絡み合いが美しい。
そして表情が実にチャーミング。マズアがこんな表情を作るなんて。
また、弦の各パーツの音色が独特で惹かれる。そして極めつけはホルンの力強さ。

第3楽章も随分と思いがこもっている。でも音がきりっとしているので悪くない。

終楽章も主題を切々と歌う。その後は潔い音の連続。終結は血管が浮き上がる。

録音は1981年完成の新ゲヴァントハウス大ホールでのセッション。
鮮度の高い力強い音がする。
各楽器が明確にピックアップされ昔のコンヴィチュニー時代の録音とはまるで違う。

11:48  11:55  8:08  12:53   計 44:44
演奏   S    録音  92点

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