クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

フィールド ピアノ協奏曲 第3番

2016.02.29 (Mon)
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ジョン・フィールドのピアノ協奏曲第3番は2楽章で書かれている。
第1番のところであげた吉川絢子氏の研究論文にあるが、そもそも「協奏曲」が
3楽章制を採るということは当時のマストではなかったようだ。第7番も楽章が二つ。
その他の曲も緩徐楽章の比重はやたら軽い。
冒頭楽章と結尾楽章の箸休めのような位置づけだ。

フィールドのピアノ協奏曲における小節数は下記の通り(吉川氏論文より)
第1番  284  48  327
第2番  504  58  603
第3番  483  -  422
第4番  402  59  575
第5番  564  38  340
第6番  561  75  269
第7番  576  -  750

フィールドの緩徐楽章はノクターン風であり転用も多い。
彼自身「ピアノのためにアダージョを書くなんて馬鹿だ」と言ったという話もあり
軽んじていた。意味不明な発言だが事実ピアノ協奏曲においては軽視され、
並行して沢山書かれたノクターンが生まれた。
きっと協奏曲とピアノ独奏小品を分けて考えていたのだろう。

フィールドのピアノ協奏曲を聴いてみると前後楽章に技巧をひけらかすカデンツァ
というよりノクターン的要素の強いソロパートがちょくちょく登場するので
全体としては抒情不足はない。

ただ、そうはいっても習性として緩徐楽章が欲しくなる。
実際フィールドはこの第3番の演奏に際して、自身のノクターンにオケの伴奏を
付けたものを挿入していたというからその自覚はあったのだろう。
当方保有CD盤も適宜ノクターンを挟んでいるものが多い。

全体の楽想は、適度にメロディアス、適度にはつらつ。
堂々感は増しているが、ドカンと驚かすようなことがなく節度があるのが良い。

終楽章のロンドの主題など聴きおぼえがある。
そうショパンのピアノ協奏曲第1番の第3楽章だ。
後輩ショパンは完全にぱくっているな、とニヤリとする。
で、私はフィールドの方が好きだ。
ショパンのあのロマン派特有の鬱蒼とした重さはなく、ハイドンのような軽さだ。
そして品がある。そこが良いのだ。

当方保有盤は下記。
① 1982  オコーナー (p)   フルスト  ニューアイリッシュ室内管
オコーナー全集

② 1994  オローク(p)     バーメルト  ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
オローク35

③ 1996  フリス(p)       ハスラム  ノーザン・シンフォニア
フリス13

④ 1998  シュタイアー(p)  スターン  コンチェルト・ケルン
シュタイアー23

⑤ 2007  レスターニ(p)   グィダリーニ  ニース・フィル
レスターニ全集

演奏は④のシュタイアー盤がピアノフォルテを使用したピリオド演奏。
この演奏は溌溂感が一番あり明るくハイドンを思わせる。
またこの盤は第2楽章としてノクターン第2番ハ短調を代用している。
ソロによる静かな気配は心を落ち着かせるばかりか次のロンド楽章を際立たせる。

⑤のレスターニ盤は同じくノクターンの第2番を採用しているが
こちらはモダン楽器による演奏。
全体にテンポがゆったりしているので38分ほどかかる
シュタイアーが30分そこそだから印象は異なる。
とてもロマンティックだが小編成なので重くなることはない。

一方、①オコーナー盤と②オローク盤はフィールド自身が実演で採用したと
言われえるノクターン第5番変ロ長調をオケの伴奏つき編曲で入れている。
これがまた非常に綺麗で効果がある。

①はリリシズムに富む演奏。終楽章は序奏をカットしていきなり始まる。
この全集は3枚に全7曲を詰め込んでいるので編集したのか?
②は相変わらず綺麗な仕上がり。

③フリス盤は潔く緩徐楽章を挿入せず2楽章のまま。
ピアノがころころ切れがあり爽快だ。

① 17:03  4:42  9:27    計 31:12
② 16:37  3:44  12:03   計 32:24
③ 17:52  -   13:06   計 30:58
④ 14:49  3:48  11:36   計 30:13
⑤ 18:31  5:04  14:19   計 37:54

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