クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シベリウス タピオラ N・ヤルヴィ(85)

2016.01.19 (Tue)
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N・ヤルヴィ/エーテボリ管弦楽団(85、BIS)は自然の営み。
前半は速めで凍てつく森を氷を交えながら淡々と流れる川。
10分以降は少しテンポを緩め緊張感が高まる。そして自然の仕打ち。
エーテボリのこのオケの音は何から何までフィットしている。
N・ヤルヴィの作為を感じさせない所作はいうことがない。

このコンビで交響曲全曲を録音し終わって作った管弦楽作品集。

1. 交響詩「ポヒヨラの娘」op.49
2. 組曲「愛する人」op.14
3. 交響詩「タピオラ」op.112
4. 抒情的アンダンテ

実に渋い選曲だが、この盤の素晴らしさはこれ全体を通してシベリウスの
独自の世界が表出されている点。
厳しいタピオラが終わって非常に珍しい作品番号なしの「Andante lirico」。
葬送のような真冬の暗さの前半と慎ましく心を躍らせる中間部、
そしてまた暮れていく。しんみり切ない終結。
誰がこんな選曲を考えたのだろう。

この盤にCDジャーナルは下記の評を付している。
『ヤルヴィの振るシベリウスにはいつも独特な深みがある。
それはニヒリズムに満ちた表現主義者としてのシベリウスの姿を
彼が初めて浮き彫りにしえたからである。
音楽の安逸な予定調和をこの作曲家が決して求めていなかった事を
立証する演奏である。』
正鵠を射るとはこのことだろう。
ヤルヴィタピオラ風景

録音はエーテボリ・コンサートホールでのセッション。
落ち着いた木質トーンで適切な響きを持つ。
後年DGで再録音された同場所での録音より響きが少なく
地味なのだが曲にあっている。

18:48
演奏   S    録音 92点

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