クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シベリウス 交響曲第1番 スヴェンセン(2002)

2015.12.25 (Fri)
スヴェンセンシベ1
スヴェンセン/BBCウェールズ管弦楽団(2000,BBC)は狂気。
私はこの曲が正直得意ではない。が、この演奏は刺さった。
万人には絶対勧められない。眉を顰める人多数。
しかし、この暴力的な演奏は複雑なシベリウスの深層を抉る、と思う。
ある面の真実。

21世紀にこのような過激な指揮をするヨゼフ・スヴェンセンとはどんな人物か。
日本人とノルウェー人のハーフで、1960年ニューヨーク生まれのアメリカ人で、
家族とともにデンマークに在住。もともとヴァイオリニストとして登場しているが
近時は指揮活動が盛んなようだ。
全く知らなかったがとにかく、なんと言うか、唖然。
swensen.jpg

第1楽章は予備知識なく聴き始めた。
しかしなにか様子が普通と違うことに気がつく。
やたらに積極的な表情なのだ。しかし妙な違和感がない。
スヴェンセン・ワールドともいえる独自世界に入った。
ブラスとパーカッションの叩きつける音は聴いたことがないほどのエナジー。
このオケも恥じらいもなくよくここまでやる。
音楽が鎮まるとテンポがぐっと落ちハープが寂しげにポロンポロン。
支離滅裂なのに説得力がある。

第2楽章も繊細から爆発までの振幅がデカイ。突然ブチ切れる凶暴さ。
場面ごとにいちいちアクが強い。チャイコの1812年と双璧。
リズム感がいい。
そして暴風雨が過ぎた後の優しさが恐ろしい。

第3楽章も濃厚過ぎる。テンポは溜められ、ティンパニは当然猛烈強打。

終楽章の導入は徹底して遅い。間を取り完全にオドロドロの劇画の世界。
主部に入ると今度は異常な加速。
そしてシンバルと大太鼓のパルス音で音楽が止まったあと
大袈裟にメロディアス洪水。
6分からはギャロップは完全にメタル・ハード・ロック。
ブラスは吼え、パーカッションは派手なビート。
やり場のない怒り、そして噎び、嗚咽、更に嘔吐!
終結のかけてのど派手な演出は見事に決まっている。
凄い、この人の演出能力はめちゃくちゃ凄い。
シベリウスのこの交響曲を題材に見事な破天荒スペクタルを作ってしまった。
流石プロムスで、終演後は若い歓声が聞える。
こんなイキイキ音楽を聴けばクラシック・ファンも増えよう。

録音はロイヤル・アルバートホールでの8/15のプロムスでのライブ。
proms2002.jpg
BBCの収録なので音は万全だ。かなり凶暴な音がしっかり収録されているが、
量感は薄めなので補強すると更にど迫力。
ライブの一発録音だが聴衆ノイズは気にならない。
響きは多くないが広い会場であることはわかる。
ティンパニや奥の菅楽器も明確な輪郭を保っているのでマイクセッティングも
慣れたものなのだろう。

10:46  9:31  5:16  12:32   計 38:05
演奏  爆S    録音 91点

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