クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シベリウス 交響曲第2番 ヴァンスカ(2011)

2015.12.04 (Fri)
ヴァンスカ25ミネソタ
ヴァンスカ/ミネソタ管弦楽団(2011、BIS)、本盤には物語がある。

このコンビによるシベリウスの交響曲は2011年に2,5番、2012年に1,4番が録音された。
しかし2013年10月にはヴァンスカは同楽団の不祥事に嫌気がさして音楽監督を
辞任しているので、果たして全集は完成するのか?してるのか?
(一方、BISはオッコ・カムで2012年から14年にかけてシベリウスの全集を完成させた)
契約は再度復活しているのできっと完成はすると思われるが…。

他方この盤に絡み心打つ記事があったので長いが紹介したい。

河北新報 2013年1月28日(月)
『内部対立から資金不足に悩む米国の名門楽団「ミネソタ管弦楽団」と、
仙台市の全盲の女性が手紙でエールの交換をしている。

女性は東日本大震災後、ストレスによる難聴に悩まされ、楽団の演奏を聴き克服した。
楽団の苦境を知り、応援の手紙と寄付金を送ったところ、団員の心を揺り動かし、
感謝の手紙が届いた。女性は「心の支えとして演奏を続けてほしい」と話す。

送り主は、生まれつき視力がなく、アイメイト犬と暮らす翻訳家松川恵理子さん(36)
=若林区=。ミネソタ大に留学中に同楽団の演奏を聴き、
「情景が浮かぶような表現力豊かな演奏」に引かれてファンになった。

同楽団は昨年(2012年)10月以降、不明朗な会計処理をめぐって執行部と団員が対立し、
執行部がロックアウト(施設封鎖)していた。
団員が自費で演奏していると聞いた松川さんは、10月にB5判で11枚に上る応援の
手紙を書いた。貯金から切り崩した5600ドル(約50万円)分の小切手、
96人の全団員分の折り鶴を同封して楽団に贈った。

震災で松川さんの自宅アパートは大きな被害を受け、転居を余儀なくされた。
しばらくして難聴が発症。音を頼りに空間を認識する能力も衰えた。
震災によるストレスが原因とみられ、薬をのんでも改善しなかった。
楽団のCDを聴き続けたところ、聴力が自然と回復し、空間の認識能力も取り戻したという。

日本から届いた手紙を読んだ団員らは「海を超えて人の心を癒やすことができた」と感激。
11月、メンバーのサインを書いた手紙が松川さんに寄せられ、その後も手紙の交換が続いた。
楽団はことし、グラミー賞の「ベストパフォーマンスオーケストラ」にノミネートされ、
記念コンサートを2013年2月1日にミネソタで開く。費用は団員が各自で負担する。
松川さんも駆け付ける予定で、
「前に進む後押しをしてくれた。直接感謝の気持ちを伝えたい」と心待ちにしている。 』
と記事はここまで。

その後松川さんは無事渡米しミネソタで行われた、グラミー賞ノミネートコンサートを
聴いたばかりか、楽団の計らいで、リハーサル時には楽団員と共にいた。
その時の写真が米国の新聞に掲載されていた。
20130201_osmo-vanska_33_201512032234452ca.jpg
この時グラミー賞にノミネートされた盤がまさにこの盤である。
(松川さんが8日間にわたって聴き続け、聴力と感性を回復させた
 ミネソタ管のCDは何だったのかは、記載がない)
そして後続の1,4番を収録したCDはグラミー賞を獲得した。
07ORCHESTRA1-articleLarge.jpg
さて、演奏だがヴァンスカの意欲が漲る演奏。積極的な溜めや表情作りが見える。
オッコ・カムの自然体とは違う行き方だ。
シベリウスと同じ言語感を持つオケならば自然体でも味わいが出るが
アメリカの高性能オケとやるならばこのような挑戦をしようと考えたのかもしれない。
厭になるほど指揮しているこの曲に新たな視点を提供したい、そんな意気込みが
感じられる。ただ、今の私にはカム盤の方がフィットする。

録音は、ミネアポリスのオーケストラホールでのセッション。
素晴らしい音質はSACDのメリットを感じさせる。
どちらかというと暖色系だがそれがこの曲にあっている。
文句なし。

9:11  16:28  5:47  14:38   計 46:04
演奏  A   録音 97点

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