クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シベリウス 交響曲第3番 ヴォルメル(2008)

2015.10.10 (Sat)
ヴォルメル3vn
ヴォルメル/アデレード交響楽団(2008、ABC)は雪の音がする。
ふと気がつくと、雪原にはらはらと雪が舞い降りる風景の中にいる。
ふわっとした音はおよそ現実的ではない。特に第2楽章の夢幻の世界は特筆。

Arvo Volmer(1962~)はパーヴォ・ヤルヴィと同郷エストニアで同世代の指揮者だが
私はパーヴォ同様の素晴らしい指揮者であるとこのシベリウスを聴いて確信している。
この全集は2004年から彼が音楽監督を務める同オケで「シベリウス・フェスティバル」
(2007~08)を開催した時に並行して録音されたもの。
純粋混じりけのない音の中に、暖かさを絶妙に入れてくるセンスが素晴らしい。
また、アデレード響をここまで引き上げる手腕は大したもの。
ブラインドで聴いたらこれがオーストラリア第5番目(といっても100万都市)の
街オケとは絶対わからないだろう。それほどシベリウスの世界を完璧に再現している。

第1楽章冒頭のチェロとコントラバスの音を聴いた瞬間に痺れてしまう。
すぐに雪の世界に跳ぶ。
この全集は全て雪の世界の写真が使われているがぴったり。
テンポは淀みなくさらりと進むが実に清冽。

第2楽章は淡い世界が続く。繊細な音の置き方。
あくまで自然な流れなのだが歌わせ方、息遣いが絶妙。
後半から射し込むホルンのゲシュトップによるジーツという音が意味深い。

第3楽章も実にデリケート。フォルテッシの頂点も叩きつけるようなことはしない。
常に雪を優しく包むような音の作り方。
4:01から始まるヴィオラによるコラール風のテーマは最初ぼんやり、
そして徐々にしっかり呈示される。この表現の素晴らしさはいいようがない。
終結にかけては視界が高速で拡がり、いつも間にか高みで雪原を見下ろす。

録音はオーストラリア・アデレードのタウン・ホールでのセッション。
adelaide-town-hall-482x298.jpg  Auditorium11_Adj.jpg
非常に美しい響き。
この全集の成功の半分は清涼なのに温もりのあるこの響きのおかげ。
オンマイクではなく夢の中で聴くような音。
マス的なのだが暖色ではなくひんやり感がある。
明晰さという点では更に求めることもできるが
曲にマッチした雰囲気のある音という意味では最高だ。

9:55  9:44  8:48   計 28:27
演奏  雪S   録音 95点

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