クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シベリウス 交響曲第2番 カム(2013)

2015.10.05 (Mon)
カム全集
カム/ラハティ交響楽団(2013、BIS)は抑制美。
この全集について言えることがここでも当てはまる。
演奏効果を狙う特別なことは何もない。
でも聴き飽きたこの曲を新鮮な気持ちで聴くことができた。

彼ら自身、何百回演奏したであろうこの曲。
手を抜かずに丁寧に扱っているのが分かる。
初めて聴く人、若い人にはもっと刺激に満ちた演奏もよいかもしれないが、
相当数聴いた人にはこの演奏で美しさを堪能すればよい。
ヴァンスカ盤も繊細な演奏だったが、こちらはより自然。

第1楽章波が揺れる中、透明な弦が気持ちよい。
木管のシグナルは立体的で金管はしっかり音を立てる。

第2楽章は間の活用が重要だ。たとえば4:55。
怒涛の心模様からひと呼吸置いて優しく復活していく表情は
作為は感じさせず癒しに満ちる。
この楽章は静かな瞑想に激情が混じり込むが、
あまりに激烈に過ぎると聴いていて疲れる。
その点この演奏は神経を逆なでしないのでありがたい。

第3楽章のヴィヴァーチッシモも激しすぎない。
そしてなんといっても中間部のオーボエの牧歌に癒される。

終楽章に入っても丁寧が続きアクセントはどちらかというと大人しい。
ティンパニも派手ではなく弦のしゃくりあげも少ない。
穏やかに、むしろ密やかに進行。何とも言えない抑制。
最後の最後まで慎ましい。
堪えに堪え最後に気持ちを吐露。
金管ではなく弦が気持ちの高ぶりを伝える。
なんという瑞々しい終結。

内奧に迫るこの第2番(1901)を聴くと
交響曲第1番(1899)とは違うシベリウスがいる。
交響曲第3番(1907)を向いているシベリウスがいる。
sibelius1904.jpg
(Sibelius by Albert Edelfelt, 1904作)
(なおCDジャケットのシベリウスはGallen-Kallela、1894作)

録音はシベリウスホールでのセッション。
透明感で繊細な演奏を見事に捉えるとともにティンパニも焦点がぼけない。
現在望みうる最高の音響ではないか。

9:41  14:26  6:11  14:23   計 44:41
演奏  抑A+    録音 96点

コメント

来日公演 11/26
オッコ・カム指揮フィンランド・ラハティ交響楽団
「生誕150年記念シベリウス交響曲サイクル」
11月26日(東京オペラシティ コンサートホール)
交響曲第1番
交響曲第2番
やはりこのコンビの演奏が今の私には一番沁み入る。
充実した内容だった。
カムは暗譜しているであろうこれらの曲をスコアを
置いて指揮する。座って振るので身振りは大きくない。
的確なさばきは職人的。
出てくる音楽もメリハリはあるが大袈裟なことはない。
しかし、なんというのだろうか、この説得力は。
CDでも感じたが、弦に現れる独自のイントネーションが
音楽を深く感じさせる。これはもう体に染みついたものと
言うしかないのではないか。
終演、オケが去っても指揮者は呼び戻された。

管理者のみに表示

トラックバック