クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シベリウス 交響曲第7番 カム(2013)

2015.09.23 (Wed)
カム全集
カム/ラハティ交響楽団(2013、BIS)は遂に現れた至高の演奏。
全く癖がないのに心は震え、満たされる。
これはベルグルンドでもなしえなかった境地。
録音、音響も含め過去の演奏から一つ抜けた。

オッコ・カム(1946年~)は1969年第1回カラヤンコンクールで優勝して
華々しく活躍するかと思いきや、地味にこつこつ歩んだ。
若いころから彼のシベリウスは滋味に溢れ真髄を衝いた演奏だった。
しかし、一般受けはしなかった。その彼も今や70歳近く。
ここまで来ていたのだと思うと感慨深い。
カム近景
ラハティ響も素晴らしい。
ホールも秀逸で相まって分厚く木質な音が綺麗に響く。
このコンビの11月の来日が本当に楽しみ。

冒頭の森の木霊からずっと鳴り続ける神々しい響き。
どこにも人間の作為がなく自然の音がする。木管と弦の夢見る掛け合い。

9分割された弦が新たな主題を提示するその美しい響き。
憧憬が少しづつ意志を持ち始める。
5分過ぎそれが融合し高みに達した時、トロンボーンが神の啓示。
射し込む光に既に鳥肌が立っている。
そして6:20ティンパニの意味深い強打。
冒頭のそれとは既に変容し立ち上がる姿。

ヴィヴァーチェッシモへの移行も連続的。
自然の荒々しさを見せつけるが、常に優しい。
しかしこの指揮者はこの曲におけるトロンボーンの意味をよく知っている。
肝心なところでしっかり鳴らし喚起する。ただのヤワな音楽ではない。
音楽は静かにうねりながら動と静を交錯させ進む。

終結導入のヴィヴァーチェで木管の2回目の刻み(17:20~)が
落ちている気がするのだが。聞こえないだけか・・・。

とにかく終結。積み上げ積み上げ頂点に達するが
ここでのテンポがもうこれ以上ないくらい決まっている。
ブレーキを踏みながら高潮するがヒステリックにならない。
どこまでも抑制された感情の爆発。
森が鳴動する最後の充実した響きは全てを包む。

録音はフィンランド・ラハティのシベリウス・ホールでのセッション。
ここは2000年に完成した独自の形状をもつホール。
現代建築ながら木をふんだんに使い世界のコンサートホールベスト10に
選ばれる美しい音響。それはこの録音でも伝わる。
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ラハティはヘルシンキから電車で一時間足らず、100キロほど北に行った湖のほとりの街。
人口10万、フィンランド第8位の街にこんなに素晴らしいホールとオケがあるなんて、
フィンランドはなんという豊かな国か。
音場は自然で拡がりがあり各楽器のバランスも良い。
この幻想的な交響曲を再現するに理想的。

22:40
演奏  S    録音 95点

コメント

シベリウス、それも「カム」を取り上げていたので、コメントさせていただきます。クラシックを聴き始めて50年近くなりますが、きっかけはシベリウスでした。マゼール/VPOの交響曲第1番に、当時感激し、このレコードからいかに良い音を出せるかが、オーディオの趣味へつながっていきました。そんなシベリウスも、最近は交響曲全集が格安で購入できるようになり、次々とCD棚に増えていきました。以前のような熱血型の演奏は少なくなり、シベリウスが望んでいたであろう響きが聴かれる演奏が、多くなってきました。北欧の指揮者のCDが多くなったのも原因でしょう。そして、カムです。マゼールに夢中だった頃、カムの1番、2番、3番は感動を覚えませんでした。若かった自分に、カムの世界が理解できなかったのでしょう。当時は、バルビローリ、デイヴィス、バーンスタイン、カラヤンなどを聴いていました。その後、ヤルヴィを聴き、サラステ、サカリ、ベルグルンドなどを聴き、聴き方が変わってきました。そして、カムの来日盤を聴いて、良さが実感しました。遅れてやってきた、名指揮者ですね。早速、3枚組のSACDを発注しました。今はそれが届くのを、首を長くして待っているところです。50年かかって、やっと、究極のシベリウス交響曲全集が、入手できそうです。
クレモナさん
コメントありがとうございます。
私はバーンスタインとカラヤンでシベリウスに
はまったクチですが、お書きになられていることは
非常によくわかります。

カムについては交響曲第3番(82)で書きましたが
来日公演時の印象は全くよくありませんでした。
血気盛んな?私にとってあまりにも地味。
しかし歳を重ねるに従って別の世界が見えてきた気がします。

さて、カムの新しい全集ですが(全てを十分に聴きこんだ
わけではありませんが)素晴らしい、の一言。
以前よりも太い筆致で自信に満ちた表情が印象的。
北欧の自然の荒々しさを見せる場面もありつつ
大人の優しさや余裕を感じさせます。

勿論人それぞれ色んな感想を持たれると思いますが
私にとっては宝物が一つ増えた気持ちです。

おはようございます。cinq改め論より感覚です。
結局我慢できずに買ってしまいました。f^^;)DL購入だとハイレゾで430円ですのでお小遣い少ない身としては助かります。SACDだとパソコンに入れるとCD音質になってしまうので…

閑話休題

ずっと聞いていますが、本当に演奏録音どちらも素晴らしいですね。いままではNヤルヴィ旧版でこれはこれで良い演奏で満足していました。
あちらの演奏が人が演奏しているとしたら、こちらは風景から自然にわき上がる音の様な錯覚に陥ります。
燃えているけど熱くなくひんやりとした感覚。
シベリウス再入門して集中的に聞いていたのですが、カムの一連の演奏でシベリウスの音楽が心に寄り添ってくれた気がします。

チケット取れなかったのが残念です…
論より感覚様
7番まで到達されましたね。
この演奏を聴いていると、
シベリウスが第8番を送り出せなかったのも
頷ける感じがいたします。

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