クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ニールセン 交響曲第4番 シルマー(95)

2015.09.02 (Wed)
シルマー
シルマー/デンマーク国立放送交響楽団(95、DECCA)はいぶし銀。
非常に練り込まれた演奏で、作為は感じないのに音楽があちこちで息づいている。
歌わせるにしても全くオーバーなことはないのだが、切々と訴えかける。
この曲でここまで弱音部の秘めた感情を表出した演奏を知らない。
しかも終結が極めて印象的。

ウルフ・シルマーは1959年生まれのドイツの指揮者で1995年から98年までこのオケの首席。
ニールセンはオペラ「仮面舞踏会」を録音しているが、交響曲はこの曲のみ。
シルマー指揮
更に、この演奏成功の立役者は、オケ。この充実度はやはり共感のなせる技。

第1楽章から音楽自体の説得力に圧倒される。ともすれば外形的な迫力で
押し切りたくなるが、これは聴かせる。細部にも感興が宿る。
もちろんこのオケの無頼音響もしっかりしているので軟弱にはならない。

第2、3楽章の弱音の使い方は素晴らしい。木管の掛け合いは会話のようだ。
音響は温もり木質感がある。

終楽章はティンパニの掛け合いは真近ではないがそれなりに聴かせる。
このオケのブラス群は男性的でほんとにいい音。
ホルンの音を割らんばかりの強奏は実に印象的。
しかし、ここまでこの演奏を聴いてきたら、力で押し切るやり方ではなく
全体の音響、音楽の充実で勝負してくることはわかっている。
そして強烈な印象を残すのは終結部。
ゴージャスに盛り上げるのではなく、ティンパニの連打の後、スゥーッと消え入るように
終わる。こんな終結は初めて。シベリウスの7番の終結のよう。

ニールセンのこの曲「不滅」→「消し難きもの」の背景として、
以前は第一次世界大戦と言われたが、
最近では夫婦間の不和、デンマーク王立劇場の指揮者のポストの危機などの
個人的事情が反映しているという解釈がなされている、
がこの充実した演奏を聴くとそんなことはどうでもよくなる。
地味ながらほんとに光る演奏だし
聴いた後に宙に放り出される感覚は他では味わえない。

なお、このCDはこの曲の前に幸福な時代のチャーミングは佳作
「愛の賛歌」(少年合唱、ソロを伴う)と「小組曲」が併録。
何とも意味ありげな構成だ。

録音はコペンハーゲンのデンマーク放送スタジオでのセッション。
スタジオぽい窮屈さを感じさせず自然で綺麗な音に録れている。
流石DECCA、というか協力しているデンマーク放送のエンジニア陣のセンスかも。
ホールトーンは多くなく円やかに鮮明。よって独奏が活きる。
また、この曲では弦がヒステリックなパッセージを弾く場面もあるが
決してキンキンならない。低域から高域まで誇張も過不足ない。
派手さはないがバランスのとれた優秀録音。

この演奏は私的にS評価だが、演奏効果は地味である点は
お断りしておきたい。

11:48  5:04  9:55  9:01   計 35:48
演奏   S   録音 93点

コメント

何時も参考にさせて頂いております。記事を拝見して購入させて頂きました。ニールセンまだ入門中ですが、他の演奏と違って爽やかで良いですね。次はトムソンの2番狙っております。
シルマーのは「不滅」という大げさな訳語が
全く似つかわしくない演奏と思います。
「消えない思い」というようなかんじでしょうか。
この曲に新たな視点をくれた盤でした。

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