クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

R=コルサコフ シェエラザード シャイー(93)

2015.08.18 (Tue)
シェエラザード シャイー
シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(93、DECCA)は耽美+精緻。
劇画調こってりではなく、かといって青空のもとの爽やかさだけを売りにしない。
大人の管弦楽。
素晴らしい録音、ホール、オケで、シャイーはスタート時点ですでに下駄をはいている。
ただ、この指揮者の譜読みは深く、夢見る音響美で管理されたオケを包む。
これが凡演に聞こえたら、モニター型ヘッドフォンで集中して聴いてみてほしい。
指揮者の緻密さがわかる。

第1楽章、音の起立をなだらかに行い、山形状にする。
これはズヴェーデンのヴァイオリン・ソロも同様だ。刺激は少なくまろやかな隆起。
流れは自然でゆったり。

第2楽章も最初ソロが続く場面はウットリの連続。音がホールに消えていくの美しさ。
ただ、3:41から進軍のような場面でのモチーフは他の演奏では聴かれない
スタッカートが全楽器に徹底しており驚く。
弾むところではしっかり弾んでおり何もしないただの美音に任せるアプローチではない。

第3楽章はぞくぞくさせてくれる。

終楽章は、勢いで勝負しない行き方。
録音の良さを活かしてそれぞれの楽器が重なり合う中で絶妙かつ微細な表情づけ。
たとえばスネア・ドラム。ここまで雄弁な演奏はない。
難破に向かうクライマックスもマスの音量で勝負しない。
楽器の組み合わせの妙でだ。
終結に至るスヴェーデンのヴァイオリンの美しさは筆舌に尽くしがたい。

なお、併録はストラヴィンスキーの「幻想的スケルツォ」。
恩師R=コルサコフが認めたストラヴィンスキー初期の傑作を持ってくるあたり、
シャイーはやるなあ。

録音はコンセルトヘボウ・大ホールでのセッション。
ソロはしっかりピックアップしたうえでこのホールの綺麗な音響を絡ませる。
録音部門で1994年レコード・アカデミー賞受賞。
高域から低域までDレンジ広く余裕を持った伸びやかな音。
また、フィリップスなどと違い弦は引き締まり、ガットに擦れる音まで明快。
第2楽章10:40からゴソッゴソッという音が聴こえるがなんだろう?
終楽章では各楽器の分離も鮮やかで妙技が愉しめる。

10:31  12:42  10:11  13:04   計 46:28
演奏  S    録音 96点

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