クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

レスピーギ ローマの祭 T・トーマス(78)

2015.06.12 (Fri)
トーマス(←日本盤CD 米国盤LP→)トーマスLP
T・トーマス/ロスフィル(78、SONY)は痛快。屈託ない明るさとリズムのキレ。
録音当時はアナログ末期でLPのためティルソン・トーマスは「祭」「泉」を選択して録音した。
一番人気の「松」を外したこの組み合わせで録れた指揮者はほかに知らない。
従ってCD時代にはこの2曲だけでは発売できず日本では96年にバーンスタインの
「松」との組み合わせ廉価版CDでかろうじて一度発売されたきり。
バーンスタインは「祭」を録音しているのでそちらを入れても良かったが、
日本のSONYはトーマスを優先した。
多分米国では本盤はCD化はされていないのではないか。
(ちなみに、この指揮者はハリウッド生まれなのに、ロスフィルとの録音は
非常に少ないという点からも本盤は貴重)

そして演奏だが、バーンスタインとはまるで違う西海岸サウンド。
当時34歳だった俊英T・トーマスと前年まで音楽監督だったメータ時代の名残を残す
ロスフィルが活きのいい演奏をする。眩くノリがいい。

第1曲「チルチェンセス」は輝かしい。ブラス群が遠慮なく突き抜ける。
そして、待ってましたチューバの神様ロジャー・ボボ。
実は高い65年のメータ盤を買ったのはボボを聞く目的もあったのだが
残念ながら殆ど聴こえない(演奏には参加)。
しかし、この盤ではやってくれている。まあ、チューバにばかり焦点を当てるのも
どうかとは思うがそれほどの存在感。オケに厚み加える。
そして、サウンドが全く混濁しないのはMTTの美学。

第2曲「50年祭」は現実的で率直な表現。各フレーズをくっきり。
現代音楽のよう。そしてここでも4:08からボボ様のお通り!痺れる。

第3曲「10月祭」も明晰な表現で押し通す。
冒頭のホルンをはじめ金管の吹奏のなんと気持ちよさそうなことか。
鈴のリズムもノリノリ。

終曲「主顕祭」は楽器が実に楽しげに鳴る。
その浮かび上がらせ方が巧みで面白い。ドラムが左右で掛け合う効果など
この演奏で初めて知った。終結は重厚さよりリズムが優先されビートを刻む。
ボボ様も当然絡んでくる。なんと楽しい演奏か。
(↓録音当時の若きMTT、BPOスクラップから)
MTT-BPO-1978_20150612214659e39.jpg

録音はUCLAロイズホールでのセッション。
メータ在任中DECCA録音で使っていた場所だがSONYの録音の方がフラット。
DECCAの方がラウドネス的で低域の量感があり。
こちらも鮮明さは十分確保されている。ホールトーンはしっかりあるが直接音を
拾っているので近接迫力とスケール感はある。

4:26  7:31  7:44  4:57   計 24:38
演奏  S    録音 90点

コメント

これは隠れた名演ですよね。客演でしょうが、オケと指揮者の一体感も素晴らしいと思います。ロジャー・ボボ゙、この時期のLAPOを聴く楽しみの一つです。
モッキンバードさん
隠れた名演、確かにそうかもしれないですね!
思いが共有できてうれしいです。
師のバーンスタインが「肉食系」ならT・トーマスは「草食系」?
オケを美しく鳴らしながらも、ここぞという時の迫力は十分。
本当に各楽器が気持ち良く響いてきますね。
「S」評価だったので聴いてみましたが大正解でした。
「S」評価はバーンスタイン、T・トーマス、マゼールと
アメリカ系指揮者とアメリカのオケが占めましたね・・・
T・トーマスは独特のセンスがありますね
それはサンフランシスコとのマーラーでも
発揮されています。
若いと思っていたこの人も1944年生まれ。
もうかなりのお歳ですね。

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