クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

レスピーギ ローマの祭 トルトゥリエ(91)

2015.06.08 (Mon)
ypトルトゥリエ
Y・P・トルトゥリエ/フィルハーモニア管弦楽団(91、CHANDOS)は千変万化。
ともすれば賑々しくして終わりという曲だが、場面ごとに繊細でニュアンス豊か。
それでいて終結のエナジー量も満点。

指揮者ヤン・パスカル・トルトゥリエは偉大なチェリスト、ポールの息子。
親の七光りでこの録音をしたのかと思いきや下記の曰くがある。

 『この当時、フィルハーモニア管の音楽監督を務めていたシノーポリが
ニューヨーク・フィルとローマ三部作をDGに録音したのが、
1991年4月(日付は記載なし)のこと。当盤の録音は同年4月15・16日。
ということは、当時、ロンドンで必ずしも好評とはいえなかったシノーポリが
ニューヨークで同じ曲を録音することを知った楽団員の面々が、やたらに奮起して
録音に臨んだのか、あるいはトルトゥリエの客演時の評判を知ったシノーポリが
同じ曲を手兵で指揮するのを敢えて避けたということなのであろうか?
真相は藪の中だが、なにはともあれ、このディスクに刻み込まれている熱気が
ただものではないことだけは確かな事実である。(満津岡信育)』
b_Tortelier.jpg
経緯はどうであれ、有名とは言えないこの中堅指揮者は名門オケを完全に
ドライブしている。指揮者の唸りは随所に聞えるが誠に自由自在。
そしてオケはこれがフィルハーモニア管弦楽団かと思うほど華麗。
意地を見せるかのように名技が連発する。

第1曲「チルチェンシス」は丁寧に凶暴。広大な音場も手伝い遠近感がある。
眼前の血なまぐさい情景もふと昔こういうことがあった場所をみるというトリップ感。

第2曲「50年祭」は夢遊感が強い。ピアノから始まり空間の中を徐々に
音量が増してはっと目が覚める。そこは長閑な陽のあたる丘。そよ風が吹く。
またまどろんでいると巨大な建造物を見上げている自分がいる。

第3曲「10月祭」は落ち着いた音楽。舞台奥からのラッパの懐かしさが心をくすぐる。
弦の刻みの繊細さそしてマンドリンが更にノスタルジックなムードを演出。

第4曲「主顕祭」は最初は焦らず分解能抜群。テンポ・ルバートを駆使。
行くぞと見せかけブレーキ踏んで次に猛ダッシュ。
切れ味も鋭く、パーカッションも豪快。
そして終結は大見得切って大団円。音響は凄いことに。

録音はオールセイント教会でのセッション。
シャンドスらしく響きが多いが慣れるとキラキラする音の洪水を愉しめる。
本当は大きなスピーカーで大音量でかけたいところ。
優秀録音だが再生装置を選ぶかもしれない。
フィルハーモニア管弦楽団がEMIでもDGでも聴いたことないような音で聴こえる。
オケには固有の音があることは否定しないが、録音会場とエンジニアによって
印象がここまで変わることを心せねばならない。
All_Saints_Church,_Franciscan_Road,_Tooting All_Saints_Church,_Franciscan_Road,_Tooting2

4:31  6:36  7:42  5:31   計 24:20
演奏   A+    録音 93点

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