クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ムソルグスキー 展覧会の絵 アファナシエフ(91)

2015.04.19 (Sun)
展覧会の絵アファナシエフ
アファナシエフ(91、DENON)は音楽劇。
このピアニストは91年4月にこの曲を人形劇に仕立てている。
その上演の記録ではないが、一曲一曲にその場面や心情を彷彿とさせる。
結果としてテンポは遅く・・・単純に遅いというより表情が濃密で
「間」を多用するため時間がかかっている。

アファナシエフは
「小物の芸術家は地方色のみに注目しリアリティに片足を引き敬礼する。
偉大な芸術家は鏡の中に道を見出し人間の神話の領域に至る」
としてロシア「5人組」の中でのムソルグスキーの特異性を指摘し、
この曲を「ハルトマンの絵画に通じるものならば、原作とムソルグスキーの
音楽に共通するものが、殆ど表題ばかりにすぎないことを知っている。
この曲は彼の錯綜した思考も道程を辿るものである」として解釈する。

私もこの曲のピアノ版を聴いてそのように感じるようになった。
そうした意味でこの演奏は非常に興味深い。
しかしこの演奏を何度も聴きたいかというかと問われればそうではない。
というのはアファナシエフの思い、情念が強すぎるからかもしれない。
それは彼のブラームスなどほかの遅い演奏にも通じる。

録音はフランクフルト・ドイツ銀行ホールでのセッション。
数日かけて行われている。極めて素直で安定感があり脚色はない。
残響も多すぎず細大漏らさずピアノの音を拾っている。

「プロムナード」は遅いわけではなくさあ、始まりますよ!という起立した音。
しかし幕が開き舞台が暗転し「小人」が始まる墜ちる。
5:20とい普通の演奏の倍以上の時間。無音の時間が次々に現れる。
「ビドロ」はffで開始され重圧に苦しむ様が浮かぶ。
曲の終結では力感がどんどん薄らぎアクセントが弱くなり息絶える。
「サミュエル」では貧者を優しく扱うところが意外。
「カタコンブ」もピアノの減衰と真空をうまく使う。
「キエフの大門」のテンポも遅く一音一音置いていく感じ。
7分超えでチェリヴィダッケに匹敵。極めて輝かしい終結になる。
展覧会の絵アファナシエフ劇

44:43
演奏  劇    録音 94点

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