クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ムソルグスキー 展覧会の絵 ヴァント(99)

2015.03.18 (Wed)
ヴァント
ヴァント/北ドイツ放送交響楽団(99,RCA)は職人芸。
ヴァントとこの曲は意外な組み合わせだが得意曲だったとのこと。
目立つ仕掛けをせず速めのテンポで行くのに惹きこまれる。
繊細な工夫があちこちにあり、決して流しているわけではない。

「プロムナード」は柔らかく力まずさらりと始まる。
最初は87歳の老人の指揮なので力のない演奏なのかと思ったが実は違った。
基本は淡々としているのだが、「古城」に入る時のひと呼吸の感じなど絶妙だし、
弦がか細く震える表情など、よく聴くと仕組まれている。
「チュイルリーの庭」の歌わせ方も至芸の域。
「ビドロ」は小太鼓と大太鼓の心理的圧迫感の描写が凄い。
「カタコンブ」の金管吹奏の音の立ち上げ方がブルックナー的に感じる。
いきなりの強音ではなく、ゥオアーー。
「バーバヤガ」からはバスドラムが目覚ましい効果。
録音もこの風圧を見事に収録。
「キエフの大門」は巨匠風にテンポを落としながら盛り上げるかと思いきや、
決してダレない。これがヴァントの矜持なのだ。
絶妙の間をとりながらも畳み掛ける。力づくではない。
俺はカラヤンやチェリビダッケとは違うんだよ、といいたげ。

録音はハンブルグ・ムジクハレでのライブ収録。
落ち着いた落ちなのだが太鼓系の音が大きく入る。
特に先述の通りバスドラムの威圧感は屈指。
客席ノイズは若干聞こえるので真性ライブということがわかる(拍手はカット)。
ホールトーンも落ち着いた木質で、緊張感ある空気感が伝わる優秀録音。
昔はライブは録音に不利と言われたが、RCA録音陣は軽々乗り越えている。
laeiszhalle-musikhalle-hamburg.jpg

30:47
演奏  A+    録音 93点

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