クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ムソルグスキー 展覧会の絵 カラヤン(86)

2015.03.14 (Sat)
展覧会の絵カラヤン1986
カラヤン/ベルリンフィル(86、DG)はフルオケ総展示。まさに壮麗。
カラヤンはゴージャスだけで中身がない、と昔評論家は言った。
音楽にポピュリズムは不要であり”精神主義”が大事なのだ、と。
この演奏は、まさに典型的ゴージャス。
しかし、この曲に、中身を求めても仕様がないではないか、というのが
率直なカラヤンの主張であり、それが演奏の絶対的確信を支える。

カラヤンの「展覧会の絵」というとやはり来日時の演奏が忘れられない。
1979年来日時、FMでこの曲のライブ中継を聴いた。
刷り込みのアンセルメ盤とまるで曲が違うように思えたものだ。
オケが違うとまるで別の曲。
ラストの「キエフの大門」のじらされるような終結は圧倒的で、
終演後聴衆が気が狂ったように叫んでいた。今の日本のコンサートで
こんな聴衆の全体的興奮騒ぎは最早ないのではないか。
この記憶は本盤に近い。

88年の最後の来日時にもこの曲の生中継がFMで行われたが、
なんと冒頭のトランペットが大失敗するという事故が発生しており、
その後も何となく締まらない演奏だった
(トランペットはその後も立ち直れず。聴いてるこちらが可哀想になるくらい)。
東京文化会館という音響の悪さもあるが絶頂期の輝きがすでに薄れていた。
本盤はこの2年前の収録だがまだ煌めいてる。

録音はベルリン・フィルハーモニーでのセッション。
響きはあるが、明らかに旧盤のキリスト教会のものとは異なる明るいトーン。
広大な観客のいない空間を感じさせる。

「プロムナード」のトランペットは66年盤に比べスマートに鳴っている。
「小人」はカラフルだ。
「古城」はやはりデファイエの存在感が大きい。
ヴィヴラートのかかった終結音が黄昏の陽のように輝く。
その後も「楽器の展覧会」のように次から次へと見世物が続く感じ。
「バーバヤガ」以降は打楽器群の威力が凄い。
「キエフの大門」はドカンドカン打ち込まれるバスドラムに、絶叫のブラスセクション。
終結のエナジー放出量はこの曲の演奏の中で最大ではないか。
聴き手にこれでもか威容を迫る。
この演奏の終結部の音響はスクリャービンの「法悦の詩」に似てる。
音響で心理的絶頂感を与えることができることをカラヤンは
十分承知なのだ。

33:02
演奏   華A   録音  91点

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