2015.03.10 (Tue)

ナッセン/クリーヴランド管弦楽団(95、DG)はストコフスキー版。
この版の使用の演奏の中では一番さらりとしている。
ナッセンは1952年イギリス生まれの作曲家兼指揮者。
自作の現代音楽の交響曲や「怪獣たちのいるところ」というオペラで目にしていた。

この盤はオケが上手くかつ指揮者のコントロールがしっかりされており
抑制の中に美しさが光る。
バーメルト盤やセレブリエール盤もよいが録音で響きが多すぎるのが
気になるので個人的にはこれが好み。
ともかくストコフスキー版を扱う指揮者がいずれも作曲家でもあり、
ストコフスキーと交流があった人たちというのが面白い。
ストコフスキーには、何か惹きつけるところがあったのか。
録音はクリーヴランド・セヴェランスホールでのセッション。
このホールらしい鳴りのするスケール大きな録音。
(このホールの録音ではセル指揮のブルックナーの
交響曲第8番の第4楽章冒頭の進軍が巨大だった)
一定の距離感はあり自然なマス感。派手さは少ないが優秀録音だ。

演奏はこの版を遣いながら奇を衒うことはなくというのも変だが、
極めてまっとう。ある意味一番拒絶反応が少ない盤かもしれない。
ストコフスキー版の拡大志向を一定のところで抑えて、
極端な表現をとらない。
しかし演奏の緩急をうまくとり飽きさせない。
私はストコフスキー版のド派手な部分より寂しくも優しい抒情に
惹かれるが、そうした意味では「古城」の美しさが光る。
この部分だけ聴くとラヴェル版より深みがあり好きだ。
「ビドロ」の勢いのいいテンポはストコフスキー譲り。
「バーバヤガ」以降の派手さはバーメルト盤やセレブリエール盤の方が上。
オルガンの鳴りも控えめ。
今のところ、この編曲で派手さを求めるならばストコフスキー盤,
ハチャメチャを求めるならロジェストヴィンスキー盤、
正統派?ならナッセン盤、
壮大な音響伽藍ではバーメルト・セレブルエール盤というところか。
28:28
演奏 A+ 録音 92点