クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ラヴェル ラ・ヴァルス カラヤン(71)

2015.01.20 (Tue)
カラヤン
カラヤン/パリ管弦楽団(71、EMI)は貴重盤。
パリ管を振ったからということではない。
ひょっとしたら変態度No.1かも、という意味で。
演奏は14分超で保有盤最長のトロリとした流れ。
濃厚な表情は晩年のバーンスタインかと思った。
そして終結部はマゼールも危うい、くねくねを披露。
こんなカラヤン見たこと(聴いたこと)ない。

カラヤンは1969年2月~1971年10月の間、ミュンシュの急逝を受けて
空白になったパリ管の音楽顧問を引き受けた。
このコンビの録音ではEMIが復活した。関係者の思惑を含んだ時期。
公演はわずか10プログラム程度。その中にラヴェルは1曲も含まれてない。
膨大なカラヤンのレコーディングの中でもラヴェルはほんの僅かだ。
ラ・ヴァルス(+併録の道化師朝の歌、クープランの墓)も唯一の録音。
これほど演奏効果の高い曲なのに不思議だ。

カラヤンは、1933年ナチ台頭時代に初めてザルツブルグで
ウィーンフィルを非公式公演で振っているが
その時に用意されたのがこの曲だった。
それ以来彼は実演でも取り上げていない。
何かこの曲にトラウマがあったのだろうか。

そんな曲を録音させたEMIには当然狙いがあった。
DGで入れていない曲を本場物のオケで録音すれば売れる、と。
DG、ベルリンフィルへの牽制としてカラヤンもそれに乗った、と
見るのは穿った見方だろうか。
そんないろんなことを考えさせる妙な演奏なのだ。

録音はパリ、サル・ワグラムでのセッション。良くも悪くもこの会場の音だ。
高域は金属的でコンクリートのような乾いた響き。低域の量感は薄い。
分離は埃にまみれイマイチ。それがしかしこの大都会の雰囲気でもある。
la-salle-wagram.jpg
(↑体育館のようなSalle Wagram)

演奏は非常なピアニッシモから始まる。
アンプの音量を上げなければならないが、放置すると後が大変なことに。
その後のワルツは切なくトロリとしている。気のせいかもしれないが
本当のウィーンのワルツのよう。憧れの表情を浮かべる。
しかし、太鼓の一撃後のラッパの音を聴くとパリに引き戻される。
カシャカシャしたオケの音。
「ワルツ」は甘い表情を見せながら結構濃密な歌。テンポはたっぷりとられる。
「栄光と崩壊」はまたもや弱音が支配し暗い影がよぎる。
ことに11:04からの再現部はテンポを異常に落としぎくしゃく感が出る。
そして蒸気機関車の如く加速。頂上に登りつめたらぐっと溜める。
オケがテンポの変動についていけないくらい危ない。
ベルリンを振っている時とは全く別人のよう。

14:09
演奏  変    録音 86点

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