クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ラヴェル ラ・ヴァルス メータ(70)

2015.01.17 (Sat)
メータ
メータ/ロスアンゼルスフィル(70、DECCA)は強烈なメリハリパンチ。
そして伝説的なチューバ奏者ロジャー・ボボに支えられた凄演。

今はロスフィル時代のメータはなんでも聴きたいと思う。
学生時代にバーンスタイン派の私とメータ派の友人でどちらが凄いか
対決をしたことがあった。今思うとどうでもいい話だ(笑)。
私はバーンスタインのシベリウスの5番を、友人はメータのこの曲を差し出した。
インド人の指揮者にアメリカ西海岸のオケでフランス人作曲家が
ウィーンを思って作った曲を振っても大したことあるまい、とタカをくくっていた。
しかし鮮烈な録音と共に繰り出されたこの演奏に脳天がカチ割られた。
これはラヴェルなんかじゃない、という暇もなかった。

この音源はLP発売後なかなかCD化されなかった。
というのもその後NYフィルと再録音されそちらが広く出回っていたから。
しかし、NYP盤では物足りない。今世紀に入り、ユニバーサル・オーストラリアから
ELOQUENCEシリーズで復刻された時は狂喜した。
CDではLPの針が飛ぶような彫の深さは薄れているが
これでも十分わかる。

録音はUCLA・ロイス・ホールでのセッション。
実演では決してこのようには聴こえない生々しい音。
Dレンジは極端に広く最強音ではウーファーがぶっ飛ぶ危険性を持つ。
DECCAの録音芸術を見る人工的超優秀録音。

演奏は冒頭の低弦の凄味(これは録音の威力)にまず驚く。
曖昧にならずチェロとコントラバスが明快に分離して持続音とピチカート。
ヴィオラが甘美なメロディを繰り出すときも低弦は不気味な音を立てる。
そして夢見るヴァイオリンが入りまず大きく盛り上がるその時(2:35)
右側からチューバの大きな刻印が入る。
チューバの神様ロジャー・ボボの登場だ。
この音は本当にただものではない。
大太鼓の一撃以降「ワルツ」を支えるのがなんとこのチューバなのだ。
いやそれ以降崩壊までを支配する。
終曲までチューバの音にだけ注意して聴いてみるのも面白い。
どれほどチューバがこの曲に威力を与えていることか。
ウィンナワルツでこれほど豪放にこの楽器が鳴ることはない。
このチューバ音だけでラヴァルスが幻影と狂気の音楽であることが啓示される。
RogerBobo.jpg
メータの指揮ぶりも全盛期のそれだ。オケ全体が引き締まり、
バウンドするように弾性を持つ。その推進エナジーは
他のどの演奏もかなわない。
渦巻くオケが大団円を迎える「崩壊」ではチューバのブリブリ音が
最後まで引っ張り聴衆を奈落に引きずりこむ。

12:02
演奏  S    録音 95点

コメント

こんにちは
面白そうです。聴きたくなりました。
このラヴァルスは未聴でしたが、私も学生時代、メータ/ロスフィルはよく聴きました。
もちろん、件のブリブリ音を期待して(笑)。
「惑星」なんかもの凄いですよね。

ドレスデンのP.ダムとか、ボリショイのT.ドクシツェルとか、聞けばすぐそれと分かる名物プレーヤーも少なくなりましたね。
芳野さん、Riccardoさん
ありがとうございます。
このコンビの惑星も確かにチューバ、凄いですね。

ロジャーボボ繋がりで言えばヴァレーズの「アルカナ」。
私はメータ/ロスフィルで最初に接したのですが
ロジャー・ボボ様がいないので
他の演奏で満足できなくなってしまいました。

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