クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ビゼー 交響曲第1番 小澤(82)

2014.10.06 (Mon)
小澤
小澤征爾/フランス国立管弦楽団(82、EMI)の演奏はよい。
慌てず騒がず、しかしその中に密かに思いや情熱が託される。
テンポは概して遅めでワクワクさせないが、微妙な表情の変化で感興を伝える。
問題は録音がその繊細な気持ちを十分に伝えていないこと。これは残念だ。
小澤は水戸室内管弦楽団と後年再録音しておりそちらかもしれない。

録音はパリのザル・ワグラムでのセッション。
ここの響きは埃っぽく音が澄まないのが残念だがそれは覚悟の上。
それでも80年代の録音なのだ。少し演奏者に敬意を払ってほしい。
響きは大雑把で暖色系。帯域は欲張らず高域にピーク感、
低域は緩いといったEMIらしさ。毛布を頭にかぶって聴いているよう。

第1楽章のテンポはせっかちでもゆったりでもない不思議な中庸感。
最初は生気が感じられないが徐々に力感がこもる。提示部反復あり。
オーボエはデュトワ盤のようないやらしさは全くなくいい感じ。
小澤のウッウッという唸りも聴こえる。

第2楽章は保有盤の中でもっとも時間をかける演奏。
主題呈示のオーボエは良い。ただ、それを受け継ぐ弦の音が綺麗に
録れていないのが興ざめ。
自然に思いが膨らむ小澤の演奏自体は素晴らしい。
テンポはそよ風のような微妙な揺れを見せる。
カノン風の弦の重なりも落ち着いた折り目正しさの中に情感が盛り上がる。

第3楽章も湧き上がる気持ちを持ちながらもテンポはゆっくり。
小澤らしい抑制。後半の民族的な部分も強調はない。

終楽章もアクセントはしっかりしている。少しそれが力みに聴こえる。
また、このオケの特色かもしれないがアンサンブルのラフさがでる。
但しここでも秘めた高揚感はある。

10:21  10:09  5:56  8:57   計 35:23
演奏  A-    録音 85点

コメント

小澤征爾、ビゼーは良いですね。このCDは持っています。世界のオザワも、結局ドイツ音楽の主流にはなれませんでしたね。オペラが振れて、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームス、ハイドン等が振れなければ、いくら人気があっても、心から認めてはくれないんです。その点、フランス音楽は合っていると思います。
40年ほど前に、日フィルと聴いた、ベルリオーズの幻想交響曲が、鮮烈に思いだされます。レコードでは、メシアンのトゥーランガリア交響曲、武満徹のノヴェンバー・ステップス。このころのオザワはキラキラ輝いていました。シカゴ、ボストン、トロントなどアメリカ系のオーケストラがオザワには合っていたのかも知れません。
私は、あまり指揮者やオーケストラの地域性を結び付けたくはないと思っているほうですが、やはりオザワの演奏からは、日本人?、東洋人?を感じさせます。まあ、それで良いんでしょうね。
クレモナさん
おっしゃる雰囲気、分かります。
私は小澤征爾がよく世界で認められたものだと彼のCDを聴いて思うことがあります。
それは一聴して分かるような目立つような主張があまりないから。
しかし、実演に接すると独特のオーラを発して惹きつけられます。私にとっては不思議で魅力的な指揮者です。

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