クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

メンデルスゾーン 交響曲第4番 ファイ(07)

2014.08.16 (Sat)
メンデルファイ4
ファイ/ハイデルベルグ交響楽団(07、hanssler)は悲劇性の表出。
この演奏を聴くとこの曲の全く別の側面が見える。
ピリオドアプローチという奏法の問題ではない。
長調で始まり短調で終わるこの曲の本質を抉り出した
初めての演奏ではないか、と思うから。
「イタリア」という後からつけられた表題からとかく陽気な曲と思われ勝ちだが
実は違うのだ。作曲者が初演後改訂をした版はもっと複雑な面を見せている。
初稿の版を使いながら作曲者の思いに切り込んだ。

最初この盤を聴いた時、従来の演奏とのあまりの差異に
爆演の類かと思ったが、違った。ファイは本気だ。
マッケラスの嬉々とした世界とは別の衝撃。

録音はプファッフェングルント、ハイデルベルク・ゲゼルシャフトハウスでの
セッション。ここは演奏会用のホールというより多目的講堂のよう。
Gesellschaftshaus_Pfaffengrund.jpg 115-02.jpg
響きは美しいが教会のように響きすぎず明確で鮮烈な音。
演奏方針に合致している。
左右は広くとられ掛け合いがよくわかる。

第1楽章は提示部反復込みで10分を切る。セルやフランツ並の
スピードだが彫の深い音響により音楽が立体的。
古楽奏法云々は関係なく血沸き肉踊る。
コーダは練習番号25に付記の「piu animato poco a poco(徐々に更に激しく)」を
忠実に守り猛然とした加速とクレッシェンド。
明るいだけでない疾風怒濤。

第2楽章も音の減衰が早いので短めの音楽になるが
各パーツが浮いては消える。

第3楽章前楽章の短調を受けて癒しの音楽。テンポは一般的。
爆演指揮者はこうした緩徐楽章で手を抜くが、
ファイは丁寧で彫が深く美しい。トリオのホルンもいい音だ。
その後のトランペットとティンパニの決然とした合の手とのやり取りなど
際立っている。

終楽章は音を細かく刻みながら粒立てなおかつ猛烈なスピードで展開。
ユストゥス・フランツ指揮の盤と5分を切る速さでは同様だが、
単に速いだけではないのがこの演奏の凄さ。
楽器の立体感が素晴らしく、曖昧さやごまかしがない。
怒りを叩きつけるような様な冒頭、弦が棘を持ち金管が止めを刺す。
表情はにこやかではなくひきつっている。
目が血走って何か狂気を感じさせるサルタレッロ。
メンデルスゾーンはこの舞曲を使って何を託したのか。

9:56  5:26  6:49  4:55   計 27:06
演奏  S   録音 94点

コメント

激烈
これもたいへん素晴らしいです。
仰る通り、長調で始まり短調で終わる「逆・運命」の曲なので
終楽章の猛烈さが「疾走する哀しみ」に思えますね。
ファイ
この指揮者トーマス・ファイは
ハイドンの交響曲全集を進行していた
2014年に自宅で負傷して再起が
危ぶまれているというニュースに
非常に残念な思いがしています。
よくなってらいたいものです。

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