クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

メンデルスゾーン 交響曲第4番(改訂版) ガーディナー(98)

2014.08.15 (Fri)
メンデルガーディナー
ガーディナー/ウィーンフィル(98、DG)は貴重な1834年版。
(このCDは初稿版と併録。他に「宗教改革」も入るお得盤)
メンデルスゾーンはこの曲を1830年から33年にかけて作曲し
完成年に初演し成功させた。
しかし作曲者はこれに満足せずに翌1834年に第2楽章から第4楽章まで
を改訂した。だが、結局第1楽章は改訂出来ずに放置され、
よって改訂稿は未完成となり現在演奏されることはほとんどない。
作曲者は最後まで現在我々が聴いている初稿に
不満を持っていたようなのだが・・・。
(ちなみに番号的に前の第3番「スコットランド」はこの後の1842年の完成)

なお、メンデルスゾーンは改訂にあたって初稿譜を他人に託していたため
それを参照せずに、記憶をたどりながら改訂した。
だからいわゆる改訂というよりも再度作曲したといった方が正確かもしれない。
実際聴いてみると同じ素材を使いながらも雰囲気がかなり変わっている。
大きな特色を言えば、各楽章の演奏時間が長くなっていることが
示すように楽曲が複雑化している。

後年の「スコットランド」が屈折した思いを秘めているのに対して、
「イタリア」はシンプルすぎると感じていたが、
何よりも作曲者自身がそれを百も承知だったのだ。

人間は最初に聴いたものに規範ができる。よってこのように
改訂版を耳に出来るようになっても慣れ親しんだ初稿がよいと感じる。
そうした感覚を一度拭い去って虚心でこの曲を聴いてみる。
もし初稿を知らずにこの改訂稿だけでこの曲に接していたならば
十分満足していた気がする。
この後初稿を聴くと、単純な初稿だな、と感じていた可能性が十分ある。
面白い経験をさせてくれたガーディナーに感謝。

録音は、ムジークフェライン大ホールでのセッション。
このコンビの初稿版録音が1997年11月でこの改訂稿が1998年3月と
なっている。初稿版の終楽章の響きの質がそれまでの楽章と異なっているが、
この録音とその終楽章は同じ響きがする。
初稿版終楽章は1998年に録り直したのかもしれない。

(第2楽章以下)
6:29  7:44  6:31   計 20:44
演奏   敢    録音 93点

コメント

お恥ずかしい限りです。前回のコメントで、私はこの改訂版の後(1837年)の版が、現在我々が聴いているものだと思っていました。しかし、ライナーノーツをよく読んで見ると、初稿版が現在耳にしているものだと解りました。大変、申し訳ありませんでした。1837年版は出版されていないのだそうで、メンデルスゾーンという人も案外、完璧性を求めていた作曲家だったんですね。
以前、アバドが演奏した「ムソルグスキー/禿山の一夜」の原典版を聴きましたが、やはり聞きなれた、R・コルサコフ版が整った美しさを感じました。刷り込みのせいもあるのでしょうが、版の問題は複雑で、一筋縄ではいきませんね。
クレモナさん
版の問題は難しいですね。
メンデルスゾーンが初稿の改訂を試みながら
完成できなかったのは謎が残ります。
改訂作業着手後時間はあったはずですから。
想像が膨らみます。

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