クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

アッテルベリ 交響曲第5番 ヴェステルベリ(91)

2014.05.06 (Tue)
アッテルベリ5ヴェステルベリ
ヴェステルベリ/ストックホルムフィル(MUSICASVECIAE)は北欧民族的劇場演奏。
アッテルベリは、20世紀に入ってもロマンティックなメロディにあふれた
音楽を書き続けた。そうした中でこの曲は「葬送交響曲」というタイトルがあるように
悲劇的な色彩で全編覆われるが、終楽章で突如挿入されるワルツが強烈な印象を与える。
アッテルベリの交響曲は極めて分かりやすいメロディとかっこよさにあふれているために
高尚な感じはしない。そのため、俗っぽく見られクラシックの世界ではマイナーな存在。
しかしこの曲は苦みの効いた屈折した心情が聴く者の心に訴えるものをもつ。
個人的にはこの人の交響曲の中ではこの曲が一番好き。
ヴェステルベリが愛情を持って接している。
思えばアッテルベリの交響曲を初めて聴いたのは
この指揮者による交響曲第2番が最初だった。第5番もこの録音が最初だった
のではないか。フルトヴェングラーもこの曲を初演後すぐに
振っているがさぞかし劇的な演奏になったのではないだろうか。
この曲がさらに広く演奏される事を期待したい。

録音はストックホルム・コンサートホールでのセッション。
同じコンビの同じ場所での録音ならばCapriceの方がホールトーンを
うまく入れて伸びやかな音でいれていたが、こちらの方はデットな雰囲気。
それでも木質の音は捉えられている。鮮明さ、Dレンジはほどほど。

第1楽章はシンバルの音を合図にいきなり悲壮な主題が提示される音楽だが、
ラシライネン盤に比べると憂愁の色が濃く北欧の音がする。
ヒステリックさではラシライネンだ。

第2楽章はこれこそアルヴェーンなどと共通する民謡的歌謡的な哀愁の世界。
北欧好きにとって直截的に訴える切ない調べ。
ストックホルムフィルの音が誠に自然に奏でる。

第3楽章へはアタッカで入る。冒頭楽章と同様の開始でこれまで出てきた
メロディが回想される。
主題がぶつかり合い高揚しきったところで音楽は突然中断しワルツが始まる(8:54)。
ここが衝撃的でこの曲の聴きどころ。
ヴェステリベリは基本的にたおやかな音楽を指向するので
この部分の分裂的な激しさでは一歩、ラシライネンに譲る。
終結部はチャイコフスキーの「悲愴」のように暗く沈みこんで終わる。
この暗さはペッタションに引き継がれる音楽だが、
アッテルベリは救いのない音楽ではない。

9:08  9:04  15:06  計 33:18
演奏  A   録音 87点

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