クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

プロコフィエフ ロメオとジュリエット(組曲) ミュンフン(93)

2014.04.15 (Tue)
ロメオミュンフン
ミュンフン/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(93、DG)はなんといってもヘボウ。
このオケとホールの深い音色に魅せられる。
一方ミュンフンは緩急自在の表情の多彩さ。二つの個性が相乗効果。
曲目は第1,2組曲全曲+第3組曲の「ジュリエットの死」をストーリーを念頭に
並べ替え。終結部などはバレエ全曲版を意識した組曲の改変が行われている。

録音はコンセルトヘボウの本拠地。
例によって木質の音色でホールトーンがきっちり入る。
直接音も見事にキープ。鋭い場面も最後には柔らかく包んでくれる安心感ある音。
柔らかい場面は夢見るシルキートーン。
ホールは楽器だということを実感する独自の録音芸術だ。

冒頭の「モンタギュー家とキャピュレット家」の「大公の宣誓」の部分は
艶のある音色とスケールに引き込まれる。
「騎士の踊り」は一転勢いがあるが鎮まるとまたもやゾクッとする音色。
「少女ジュリエット」のおちゃめさは猫の目のような表情の変転。
その後の曲もメリハリをつけた秀逸なもの。抒情とパンチが際立っている。
「ロメオとジュリエット」は透き通る様な清冽さ。聴いたことのない芳香を放つ。
大きな宇宙空間を漂う感覚に襲われる。
「タイボルトの死」も疾走する弦が飽くまでヘボウの音を捨てない。
そこに15連発だが余裕しゃくしゃく。
「僧ローレンス」は色っぽすぎるのではないか。この艶めかしヴィブラートは何だ。
「別れの前のロメオとジュリエット」はぐっとテンポを落としロマンティックを最大化。
ただ滑らかに流すのでなく、楽器を明滅させぐっと彫りの深い表情にしていくところが
ミュンフンの才能だ。この積極性は同じ東洋人でも日本人の抑制的美を
体現する小澤と全く違う。
「ジュリエットの墓の前のロメオ」はこのオケの深さが如実に出る。
大きな音だが決して絶叫にならないビロード音。大きな波で慟哭。
アタッカで「ジュリエットの死」に入る。
沈降する意識の中で儚い夢を見るような耽美的な終結。感動的。

組曲組み換え15曲
計  63:22
演奏   艶A+   録音 95点

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